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地域だより[2007年7月]

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最終更新日:2010年3月6日

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地域だより
[2007年7月]

那覇事務所

那覇事務所


粟国村で地域情報交換会を開催


 平成19年4月22日(日)、農畜産業振興機構那覇事務所は、粟国村役場、JAおきなわ粟国支店との共催により、粟国村において「さとうきびの日」の行事として地域情報交換会を開催した。
  今回の地域情報交換会では、さとうきびほ場での現場指導と栽培技術等の講演会が行われ、生産農家をはじめ、糖業関係者、行政関係者など約30人が参加した。

粟国島の概況
 粟国島は、那覇の北西約60kmに位置し、一島一村で構成された島で、面積は約7.63kuである。地域農業の主体は、さとうきびをはじめ、もちきび、肉用牛などであり、作物別作付面積では、さとうきびが第一位で、全体の33%を占める。(平成16年)

 さとうきびの作型は、ハリガネムシなどの土壌害虫の影響により、ほとんどが夏植である。18/19年期のさとうきび生産量は752トン、収穫面積は16haで、10アール当たりの単収は4.671トン。JAおきなわ粟国支店の製糖工場で含蜜糖を生産し、18/19年期の産糖量は92トン、歩留まりは12.2%である。

地域情報交換会の概要

1.ほ場における現場指導等
 JAおきなわ 島袋正樹さとうきび生産振興アドバイザーにより、「今すぐできるほ場対策」と題して以下の指導が行われた。
[指導内容]

  • 畝間は120cm〜125cm程度が理想。畝間が広がると太陽光が地面にあたり、雑草の発生を促進してしまう。小型ハーベスターによる収穫の場合も畝間は120cm〜125cmで対応可能である。畦幅が150cmの場合の収量は、120cmに対して2割減少してしまう。
  • 茎数は平均培土の実施時期で決まる。平均培土は根の伸張を促進させる反面、分げつを抑制するため、早期の平均倍土は茎数の確保を阻害してしまう。夏植の場合、4〜5本分げつするまで待ってから培土を行う。
  • 夏植え収穫後の株出栽培により、夏植用苗の確保を図る。

島袋氏による熱のこもった解説
ほ場現場指導の様子


2.プラソイラを用いた深耕の実演
(JAおきなわ粟国支店)
硬盤の除去、土中の空気・養分の増加、根の発育促進の効果がある深耕作業の実演が行われた。

プラソイラによる心土破砕の実演

3.講演会

「ベイト剤を用いたハリガネムシの防除」
(沖縄県農業研究センター病虫管理技術開発班 新垣則雄主任研究員)
 さとうきびの増産については、春植・株出の推進が重要であるが、ハリガネムシ等の土壌害虫の影響により株出栽培が非常に少ないことから、粟国村では夏植栽培が中心である。今般、ハリガネムシの防除に有効な農薬「ベイト剤」が開発されたので、その効果や使用方法について解説していただいた。

[講演要旨]

※ハリガネムシに対する新しい農薬「ベイト剤」(BASFアグロ社開発の粒剤)とは、
フィプロニル(殺虫成分)0.5%+穀物粉砕物(ハリガネムシの餌)で構成されている薬剤で、市販されているベイト剤の例として、「コンバット」や「アリの巣コロリ」などの商品があり、さとうきび害虫用は今年の夏植え時から発売を開始される予定で、効果が期待されている。
(「ベイト剤」の詳細は、当機構サイト『生産地から』2007年6月「新しいタイプの農薬、「ベイト剤」を用いたさとうきび害虫ハリガネムシの防除」参照)

○ベイト剤効果試験の解説

  • ベイト剤の誘因・殺虫効果試験(室内試験)
     
  • ベイト剤とベイト剤に対して2倍のフィプロニルを含む鉱物質粒剤を入れたお茶用ティーバッグを、厚さ3cmの土が入ったトレイ(29×22cm)に埋め、ハリガネムシを10匹放した試験を行った結果、フィプロニルを倍含む鉱物質粒剤は0.25匹(平均)死亡にとどまる一方、ベイト剤の場合は8.75匹死亡(平均)したことによって、ベイト剤の誘因効果を明確に確認することができた。  
  • 植え付け時の発芽性
     
  • 春植植え付け時にベイト剤と慣行薬剤を使用した場合による発芽数の比較で、ベイト剤が慣行薬剤と同等もしくはやや良い傾向を示した。
  • 収量および株出後の萌芽時における比較
     
  • 春植植え付け時に農薬としてベイト剤および慣行性薬剤を使用した場合、収穫時の収量は、ベイト剤が慣行薬剤と同等もしくはやや上回る傾向を示し、収穫・株出後の萌芽数ではベイト剤が慣行薬剤を大幅に上回る結果となった。
○南大東島におけるハリガネムシへの「交信かく乱法」による防除
 性フェロモンを注入したフェロモンチューブを用いてオスとメスの交信をかく乱し、メスの交尾率を下げ、次世代の発生密度を低下させる防除を行った南大東島における取り組みを紹介。この「交信かく乱」と「ベイト剤」による防除を併用することでさらなる効果が期待できる。
 (「交信かく乱法」の詳細は、当機構サイト『今月の視点』2001年9月「南大東島におけるハリガネムシの交信かく乱法による防除」参照)

新垣主任研究員

新垣氏の講演


「今すぐできる増産技術」
(JAおきなわ 島袋さとうきび生産振興アドバイザー)
4月から夏植時までの期間に必要な増産に結びつく作業について講演をいただいた。

[講演要旨]

生産量は、単収×収穫面積で決まるが、
○単収向上には、(1)適期植え付け (2)株数確保 (3)原料茎の確保を考えることが必要。
○収穫面積の拡大には、(1)夏植収穫後の株出栽培によって夏植用苗の確保を図ること。
(2)春植・株出栽培を推進し、土地利用効率の向上を図ること。
(3)株出栽培においては、施肥・中耕・雑草防除等の株出管理を徹底することが重要。
○株出栽培における萌芽期の留意点としては、枯葉除去+施肥+除草剤が大切で、この3点がセットの技術ということである。
○夏植における植え付け時の留意点としては、夏植時期の降雨が台風とセットであることから、台風による降雨の前に苗を準備し、台風後に植え付けを行う。
○土壌害虫防除の徹底(ハリガネムシ等)が重要で、その防除法として「ベイト剤」や「交信かく乱法」などがある。

講演会場の様子

4.アンケート結果
現場指導や講演会について、大多数の参加者から「大変参考になった」または「参考になった」と回答を得た。
(感想の一部紹介)

  • ほ場のさとうきびの状況を比較しながら説明をしてもらったので、よく理解できた。
  • 植え付けから肥培管理まで、説明がわかりやすく参考になった。
  • 畦幅を120cm〜130cmにするということが大変参考になった。
  • 実験を基にした講演でわかりやすかった。
  • 収入アップのためにぜひベイト剤を購入したい。
  • 夏植収穫後に苗畑として株出栽培を行う有効性がわかった。
  • 事前の知識が何もなかったので、全てためになった。
  今回の地域情報交換会は、さとうきび農家をはじめ糖業・行政関係者等多数の方々に出席いただき、現地での生産状況に即した指導・講演を実施したことにより、参加者からは好評を得た。粟国島のさとうきび農家数は24戸(18/19年期)であり、今回のような取り組みを通し、関係者が一体となって栽培技術の改善が実施できれば、速やかにその成果が現れることであろう。今回の地域情報交換会が今後の同村におけるさとうきび産業の発展に結びつくことに期待したい。(緒方)




第31回(平成18/19年期)沖縄県さとうきび競作会表彰式 (社団法人沖縄県糖業振興協会主催 那覇市)

  沖縄県では、県民がさとうきびの重要性についての認識と理解を深めるために、毎年4月の第4日曜日をさとうきびの日と定めており、県内各地でさまざまな催しが行われる。
  さとうきび作農家等の生産意欲の高揚による生産振興を進め、沖縄糖業発展の一助とするため、社団法人沖縄県糖業振興協会の主催 で毎年さとうきび競作会が行われており、31回目となる今年は4月27日(金)に沖縄産業支援センター大ホールにおいて表彰式が開催 された。
  なお、今年から、多量生産部門の農家1位および生産法人1位に対して、当機構から理事長賞を授与することになった。

受賞者の顔ぶれ
当機構理事長賞の授与

受賞者代表あいさつ


○競作会の審査

 競作会の審査は、まず、各市町村が関係者の意見に基づいて各地区(沖縄本島(北部、中部、南部の各地区)、宮古、八重山の5地区)の優良事例調査委員会事務局に推薦し、それを受けた同事務局が予備審査(立毛調査)を行い、各地区2点以内を選定して沖縄県さとうきび優良事例調査委員会事務局に推薦する。さらにその結果に基づいて全刈審査等が行われ、最終的に1位から3位が決定されることとなる。
  今年各地区から推薦された優良農家の圃場は計8点、多量生産の部については計10点であった。

○平成18/19年期の生産実績

 平成18/19年期の気候は、平成17年9月から18年2月にかけては気温がやや高めで降水量が少ない傾向であり、平成18年3月から4月の気温は平年並みであったが、5月以降、収穫期まで高めの気温が続いた。台風13号に伴う潮風害や少雨等により、さとうきびの生育も停滞するなどということがあったが、さとうきび増産対策等の効果もあり、最終的な生産量は741,284t(対前年比9.1%増)、平均単収は5,848kg/10a(同7.5%増)、甘蔗糖度は14.6%(同1.0%増)と、いずれも前年度を上回る結果となった。

   以下、今回表彰された優良生産農家をそれぞれ紹介する。

○受賞者の紹介

《農家の部》
1位 農林水産大臣賞
 南部地区代表(八重瀬町) 神谷 直幸

 1.栽培品種 NiF8(農林8号)夏植
 2.甘蔗糖度 15.4%
 3.甘蔗糖重量 2,995kg/10a
 4.蔗茎重量 19,440kg/10a
 5.経営の特徴
 神谷氏は、学生時代から収穫等の手伝いを行っており、本格的に経営をするようになってからは10年になる兼業農家である。栽培面積は47aで、普段は両親と3人で肥培管理をしている。収穫にはハーベスタは使用せず、手刈りで行っており、肥料は化学肥料を年2回、更新畑には堆肥やフィルターケーキを使用している。単収の向上には、特に夏場の成長期に灌水を行うことが大事と考え、今回の出展圃場は、隣接する地に湧き水が豊富にあるため、配管を工夫して灌水できるようにしている。茎長390cm、一本の重さが1,949gもあるにもかかわらず、10aあたりの茎数が9,370本も確保されたことが単収向上に反映している。新品種の特性を学び、圃場に適した品種を栽培するように努力しているが、兼業農家であるため面積の拡大は難しいので、単収と品質の向上に努めたいと今後の抱負を語っている。

神谷直幸氏


2位 農林水産省生産局長賞
 南部地区代表(南城市) 親川 洋子

 1.栽培品種 Ni15(農林15号)株出
 2.甘蔗糖度 15.9%
 3.甘蔗糖重量 2,368kg/10a
 4.蔗茎重量 12,260kg/10a
 5.経営の特徴
  親川氏は、父親の手伝いから、経営委譲をきっかけに本格的にさとうきび作をするようになった。会社経営をしながらの兼業農家である。農林10号、農林15号を中心に栽培しており、栽培面積は66a、普段は5人で肥培管理などを行っている。トラクターや耕耘機を所有しており、ユンボによる転地返し以外は自分自身で作業し、収穫は手刈りで行っている。茎長315cm、一本の重さが1,400gで、かつ10a当たりの茎数を9,000本以上も確保し、単収12.5t/10a、甘蔗糖度16.8%の結果を得た。兼業農家であるため面積の拡大が難しいので、品質や単収の向上に努めたいとのことである。
親川洋子氏


3位 沖縄県知事賞
 宮古地区代表(宮古島市) 勝連 栄一

 1.栽培品種 NiF8(農林8号)夏植
 2.甘蔗糖度 13.5%
 3.甘蔗糖重量 2,014kg/10a
 4.蔗茎重量 14,916kg/10a
 5.経営の特徴
  勝連氏は、農業経営50年の優良農家である。栽培面積は550a。緑肥を利用した土づくりを積極的に行い、植付け後の除草、害虫防除を徹底して行っている。また、植え付け後1ヶ月を目処に耕耘機ロータリーで株切りを行うオリジナル技術での分げつ促進による茎数増加を図っている(当機構サイト『生産地から』2005年10月「沖縄県宮古島の勝連栄一氏のキビ作り〜母茎処理技術で増収を図る〜」参照)。平成17年夏植の植付け後の秋から冬にかけては干ばつ気味であったが、積極的に灌水や補植を行い、茎数確保に努めた。夏植後、雨量が少ない年の灌水や補植は、茎数増加による増収効果が高いと言われている。
  今後も土づくりや肥培管理を徹底し、地域に適した品種を選定し、夏植で単収10t以上、高品質で多収のさとうきび生産を目指すなど生産意欲は高く、単収や品質の向上に取り組む情熱は地域の規範となっており、良き指導者として活躍している。
勝連栄一氏


《多量生産の部》
【一般農家の部】
1位 独立行政法人農畜産業振興機構理事長賞
 南大東村 平安座 賢二

 1.生産量 821,462kg
 2.甘蔗糖度 12.8%
 3.経営の特徴
  今期の収穫面積は11.45haで、生産量が821t余りで、管内工場の1.7%のシェアを占めている。単収低下が問題となっている南大東島にあって、夏植が6.3t/10a、春植が4.2t/10a、株出は7.9t/10aであった。平安座氏は、南大東島の収穫面積10ha以上の部門でのこれまでの単収の成績は、平成13年第1位、14年第3位、17年第1位、18年第1位であり、毎年6t/10a以上を記録し、常に村平均より高い。
 大型トラクターにより深耕と耕耘作業の効率を高め、また、適期肥培管理に努めている。減収を防ぐため、補植や、梅雨明け1週間後からの灌水に努めている。自作の60tマリンタンクや輸送用6tタンクを所有し、灌水チューブに使用場所を記入して保管するなど、作業の効率化も考えている。また、JA農業機械銀行のハーベスタのオペレータを勤めており、今期は3,300tを収穫し、地域の他の農家にも貢献している。
平安座賢二氏

 

【さとうきび生産法人の部】
1位 独立行政法人農畜産業振興機構理事長賞
 久米島町 農業生産法人(有)久豊会

1.生産量 837,576kg
2.甘蔗糖度 14.7%
3.経営の特徴
 平成12年7月に設立。久米島町で自作地0.7ha、借地20.9ha、計21.6haの経営規模である。今期の収穫面積は21.6haで、生産量は837t余りで、管内工場の1.7%のシェアを占めている。自社生産以外にも、2台の小型ハーベスタによる受託収穫が30haを超え、また受託植付けが17haもあった。その他にも整地や畝立てなどの作業など、延べ100戸の農家からの作業を受託している。高齢化していく地域の生産者の負担を軽減させ、久米島地域のさとうきび生産に大いに貢献している。

(有)久豊会

 

 他にも表彰された農家は多数おり、今回紹介したのは一部の農家である。地域の模範的存在として、地域のさとうきび生産に大いに貢献している優良農家の皆様には心より祝意を表したい。

 また、競作会の表彰式のほかに、記念講演として、JAおきなわさとうきび生産振興アドバイザーの島袋正樹氏による「これだけやれば増産につながる重要農作業」という演題で講演が行われ、夏植、株出の地域での増産対策や施肥技術、病害虫対策についての講演が行われた。(新田)

島袋正樹氏



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