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最終更新日:2010年3月6日
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(2) 溶解性
砂糖は、水に溶けやすく、また、砂糖溶液の温度を上昇させるとさらに多量に溶けるようになります。砂糖溶液を煮つめていくと濃度が高くなり、沸点が上昇し、粘度も高くなります。沸点は100〜180度と幅広く、温度によって砂糖溶液の状態や性質も異なります。沸点103〜105度に加熱するとシロップに、沸点170〜190度に加熱するとカラメルになります。また、沸点106〜107度において砂糖溶液を過飽和状態にて攪拌を行うと小さい結晶が生じ、フォンダンや金平糖に利用されます。また、沸点115〜120度では大きい結晶が生じ、砂糖衣(炒り豆、かりんとう、あられ)に利用されます。
表2 砂糖と加熱温度
(注)※抜絲:鍋に水を入れ、砂糖を加え弱火で混ぜながら熱し、泡が立ち、ねばりが出て糸を引くようになったら、低温からじっくり揚げたさつま芋を入れ、手早く混ぜ酢を加える。糸を切り、飴を固くして、歯切れを良くするためとやけどを防ぐために、御椀に水を入れてそえ、水に芋を付けて食す。
(3) 吸湿性
砂糖には吸湿性があり、空気中に放置しておくと湿気の多い日は湿ってきます。一見、好ましくない性質のように思えますが、食品や料理の乾燥を防ぎ、しっとり感を持たせる効果があります。おせち料理の錦卵は、茹で卵を白身と黄身に分け、各々に砂糖を加え蒸して作ります。砂糖を加えなければ、ぱさついてぼそぼその感じになりますが、砂糖を加えることでいつまでもしっとりとした仕上がりになります。和菓子に利用されるあずきあんも、砂糖をたくさん使うほどしっとりさを長持ちさせることができるのです。
(4) 防腐性
濃度40%以下の砂糖溶液は、微生物の栄養源となり繁殖を促しますが、濃度40%以上の砂糖溶液では浸透圧が高く、防腐性を有します。砂糖溶液の濃度40〜60%では細菌類、濃度60〜70%では糸状菌や酵母の発育を阻止します。ブドウ糖は砂糖より低濃度で防腐性の効果を示します。果糖はさらに低濃度で微生物の繁殖を阻止することができます。この防腐性を利用したのが、ジャム、マーマレード、砂糖漬けです。おせち料理に砂糖を多く用いるのも冷蔵庫がなかった時代に、7日間〜10日間日持ちさせなければならなかっのですから防腐のための工夫と考えられます。
表3 糖類の微生物に対する最少発育阻止濃度
(5) αデンプンの老化防止作用
αデンプンは、低温で保存するとβデンプンに戻ります。このことを老化といい、食品の食味が損なわれます。お団子は時間がたつとβ化が進み固くなりますが、お団子と同じ原料のもち米粉で作るぎゅうひは固くなりません。これは、ぎゅうひにはぎゅうひ粉の2倍という多量の砂糖が用いられているからです。砂糖を加えることにより、砂糖の親水性、保水性によって水分が失われず、β化を防ぐことができるのです。このように砂糖には老化防止作用があるのです。同様にスポンジケーキは、小麦粉1に対して砂糖が1の割合ですが、カステラは、小麦粉1に対して砂糖が2の割合で作ります。カステラの方が、長時間軟らかく、しっとりしているのも砂糖による老化防止作用によるものなのです。
(6) 気泡の安定性
おせち料理に淡雪かんをいただくご家庭もあると思います。淡雪かんは、卵白を泡立てて作ります。卵白には、表面張力を小さくするタンパク質が含まれていて、空気をたくさん取り込むことを、可能にしています。これを卵白の気泡性といいます。また。卵白には、空気に触れると変性して膜状に硬くなる成分が含まれています。これを卵白の空気変性といいます。砂糖は、水を引き付ける作用が強いので卵白の気泡の安定性を高めます。しかし、砂糖には、卵白の空気変性により生ずる膜状の成分を阻害する作用もあります。そのため卵白を泡立てる際には、砂糖を加えるタイミングが重要になります。まず、卵白のみでしっかりと泡立ててから、砂糖を少しずつ加えてさらに泡立てるようにすることによって、砂糖が卵白の空気変性を抑制するのを防ぎます。
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