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新たな「バイオマス・ニッポン総合戦略」と輸送用バイオ燃料について

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最終更新日:2010年3月6日

砂糖類ホームページ/国内情報

今月の視点
[2006年8月]

【今月の視点】

農林水産省大臣官房環境政策課
  課長 藤本 潔


 政府は地球温暖化防止、循環型社会形成、戦略的産業育成、農山漁村活性化等の観点から、2002年12月に「バイオマス・ニッポン総合戦略」を閣議決定し、具体的な目標や進展シナリオ、具体的な行動計画を作成し、関係府省と連携してバイオマスの利活用を推進しています。
 本年3月、このバイオマス・ニッポン総合戦略を改定し、新たな課題への対応やバイオマス利活用の一層の推進を図っているところですが、今回の改定の大きなポイントである輸送用バイオマス燃料の状況などについて述べてみたいと思います。

 わが国におけるバイオ燃料をめぐる最近の状況をみますと、2003年に、揮発油等の品質の確保等に関する法律(品確法)でガソリンへのエタノールの混合上限が3%と規格化されたほか、輸送用燃料におけるバイオマス由来燃料の利用促進を図るため、2004年から関係省庁による実証実験が全国6ヶ所で実施されています。この実証実験の中ではさとうきび、規格外小麦などの農産物や建築廃材、製材所端材など木質原料を使ってエタノールを製造し、公用車などの自動車燃料としての利用を進めています。
 さらに、2005年2月に京都議定書が発効し、同年4月に閣議決定された京都議定書目標達成計画において、2010年までに原油換算で50万klのバイオマス由来輸送用燃料の導入を図ることとされるなど、大幅なバイオマスエネルギーの導入が必要となっています。
 それでは、諸外国ではバイオ燃料についてどのような現状にあり、どのような施策がとられているのでしょうか。本年1月のブッシュ米国大統領の一般教書演説でエタノールの大幅な増加に言及するなど、世界的にバイオマス輸送用燃料の導入が進んでいます。米国では主としてとうもろこしからエタノールを製造しており、とうもろこし約2.8億トンの生産のうち約0.4億トン(約14%)がエタノール製造用に仕向けられています。ミネソタ州、ハワイ州、モンタナ州の3州ではガソリンの中に10%混合することが義務付けられています。支援措置としてはガソリン1リットルに対して約5.6円かかる物品税をエタノール分について控除しており、E10(エタノール10%混合ガソリン)としては1.6円の軽減を行っています。
 ブラジルは現状でエタノールの輸出余力のある国ですが、さとうきび生産量、約3.9億トンのうち約1.9億トンがエタノール仕向けとなっています。支援措置としては、1リットル当たり63円のエタノールにかかるガソリン税を非課税としています。原油価格が高騰したため、最近一年半ほどの間に30円程度価格が上昇し、ブラジルからのエタノールのCIF価格は1リットル当たり76円程度(18年3月現在)であり、輸入関税(23.8%)を加えると95円程度の水準になっています。
 EUにおいてもフランスにおけるてん菜、スウェーデンやスペインにおける小麦など原料の違いや国によりエタノールを直接ガソリンに混合するのかそれともETBE(エチルターシャリーブチルエーテル:石油精製の過程でできる副生物であるイソブテンとエタノールの化合物)という形でガソリンに添加するのかという利用方法の違いがありますし、また、水準の差はありますが、輸送用燃料中のエタノール分についての税制優遇措置がとられています。また、休耕地においてエネルギー作物を生産する農業者に対して支援措置がとられています。
 このような中で、わが国においては、本年3月、バイオマス・ニッポン総合戦略が改定され、輸送用バイオ燃料について、国が導入スケジュールを示しながら、利用に必要な環境を整備し、積極的な導入を誘導するよう燃料の利用設備導入にかかる支援を行うとともに、利用状況等を踏まえ、海外諸国の動向も参考としつつ、多様な手法について検討することとしました。
 特に、国産バイオマス燃料については、関係府省連携のもとで利用実例を創出するとともに、原料となる農産物等の安価な調達手法の導入や関係者の協力体制の整備に取り組みつつ、低コストで高効率な生産技術の開発を進め、利用の促進を図ることとされたところです。
 さらに、本年5月経済産業省が公表した「新・エネルギー国家戦略」においても国産バイオエタノール生産拡大に向けた地域の取組に対する支援などが明記されたところです。
 一方で、国産のバイオ燃料を実用化するためには価格競争力や関係者の意向を考慮することが必要です。現在のガソリンの製油所出荷価格は1リットル当たり66円程度ですが揮発油税などを加えると120円程度でこれに流通経費などが上乗せされて販売されています。民間が公表している試算によれば、国内で取引されている飼料用の価格に準じて原料を調達した場合、糖みつを原料とした場合には原料調達コストとエタノールへの加工コストを合わせて90円程度(糖みつ2,000トンを原料とする規模)、規格外の小麦を原料にした場合には98円程度(小麦27,000トンを原料とする規模)とされています(どちらも揮発油税抜き)。エタノールにもガソリン税が課されるという現状の下では、当面、価格競争力が小さくさらなるエタノール化に必要な加工コストを低減することが必要になっています。
 さらに、ガソリンの流通を担っている石油業界は、エタノールの利用に当たってETBEとして利用することを明らかにしています。したがって、国産のバイオエタノールを生産する場合にも将来的にはETBE原料に仕向けることも視野に入れつつ検討することが必要になってきます。

 こうした状況を踏まえ、農林水産省としては国産の原料を用いて、低コストで原料を調達するとともに、エタノールへの加工コストを低減させるための技術開発や施設設置に対する支援などを実施しながら、国産エタノールの利用を進めていく所存ですので、引き続き関係者の皆様のご理解ご協力をたまわりますよう、あらためてお願いする次第です。




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