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鹿児島県のさとうきび増産に対する取組

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最終更新日:2010年3月6日

砂糖類ホームページ/国内情報

今月の視点
[2006年9月]

【今月の視点】
鹿児島県 農産園芸課長
  西野 博


 1 鹿児島県の農業の位置づけ

(1) 位 置
 本県は、わが国の西南部、九州の南端に位置し、東西約270km、南北約600kmに広がり、総面積9,187km2で薩摩・大隅二大半島からなる県本土と甑島、種子島、屋久島、トカラ列島、奄美群島など200有余の島々からなっている。

(2) 地 勢
 本県は、薩摩・大隅の二大半島が主要部分をなし、この二大半島はその間に鹿児島湾を抱き、加えて200有余の島々からなるため、海岸線は2,643kmに及んでいる。

 薩摩半島にあっては、紫尾山系が県の北部を東西に走り、大隅半島にあっては、高隈山系が鹿児島湾に沿って、国見山系が太平洋に沿ってそれぞれ南北に走り、これらの山系と霧島火山脈の活動によって生じた火山群を骨格にし、その周辺に火山噴火物であるシラス層の丘陵台地が広がっている。

 河川は、県の北部には、源を熊本県白髪山に発し東シナ海に注ぐ川内川、南部には東シナ海に注ぐ万之瀬川、鹿児島湾に注ぐ天降川、大隅方面には志布志(有明)湾に注ぐ菱田川等があるが、川内川(延長137km)を除けばいずれもそのほとんどが50km未満の短い河川である。

 したがって、平野はこれらの河口付近にややまとまって見られるほかは、河川に沿って数珠状に細長く分布している。

(3) 気 象
 本県は亜寒帯(冷温帯)気候帯から亜熱帯気候帯まで広範囲に及んでおり、年平均気温は15℃から23℃とかなりの温度差がある。

 降水量は、地域によって相当の差があり、屋久島の山岳地帯では年間10,000mmを記録することもめずらしくないが、約2,000mmから3,000mmの降雨地帯にあり、梅雨期から夏にかけて全降水量の約半分が集中している。夏秋期には、毎年のように暴風雨を伴う台風に見舞われ、また夏期には干ばつ害を受けることもしばしばある。

(4) 産 業
 平成15年度の県内総生産額は5兆2,387億円で、そのうち農業の総生産額は 2,155億円と全体の4.0%を占めている。

(5) 本県農業の地位
 本県の農業は、温暖な気候、広大な畑地などの特性を生かして、畜産、園芸を中心として生産が伸びている。 しかし一方では、台風などによる災害の発生が多い上、シラス等の火山灰性不良土壌も広く分布し、また、大消費地に遠いなど、自然的、地理的に不利な条件もある。

 このため、これらを克服し、消費者ニーズに対応した「かごしまブランド」をはじめ、安心・安全な食の供給や研究開発体制の確立などを図るとともに、食品加工業との連携を強めて、「食と農の先進県」の形成を目指している。

 本県の農業産出額は、平成16年実績で4,142億円であり、作目別農業産出額では、豚が746億円(構成比18%)で第1位、肉用牛が725億円(17.5%)で第2位、ブロイラーが411億円(9.9%)で第3位、茶が253億円(6.1%)で第4位、さとうきびは96億円で構成比は2.3%で第8位となっている。

作目別農業産出額の上位作目(H16年産)


2 さとうきびの生産状況
 さとうきびは、熊毛・大島地区の農業産出額の第1位品目であるなど、南西諸島の基幹作物であるとともに、農家経営と地域経済を支える重要な作物であり、近年、収穫面積が伸び悩む中、ハーベスタによる収穫作業等の機械化が進み、営農集団や大規模農家も育成されつつある。

 しかしながら、台風や干ばつ等の気象災害により生産量は伸び悩みの傾向にあるとともに、依然として、収穫面積が1haに満たない零細規模の生産者が多いほか、生産農家の高齢化の進行や労働力不足など、生産構造の強化が課題となっている。

 このため、さとうきび・糖業が地域の基幹産業であるとの認識の下、畑かん施設等土地基盤整備、優良種苗の確保、ハーベスタ等省力化機械の導入等の交付金事業や(独)農畜産業振興機構の基金事業等各般の施策を活用し、関係機関・団体一体となって、担い手農家の育成や生産対策等積極的な施策の推進に努め、生産の安定、品質及び生産性の向上並びに甘しゃ糖企業の合理化の促進を図っているところである。

 これらの取組の結果、収穫面積が最低であった平成9年と平成16年産を比較すると、自然災害(台風、干ばつ)等の影響により単位収量、生産量の年次ごとの変動はあるものの、ハーベスタ収穫は着実に増加(27%→59%)し、10a当たりの労働時間の縮減も図られており、農家1戸当たりの収穫面積は15%増加し、4ha以上の農家戸数は298%(98戸→292戸)も増加するとともに、収穫面積も10%増加するなど一定の成果が得られつつある。

 今後とも、さとうきびの増産の取組を基本に、担い手の育成や生産性・品質の向上、安定生産、並びに甘しゃ糖企業のコスト低減を図るため、島ごとに策定したさとうきび増産に向けた計画に沿った各種の対策の実施を通じて高品質のさとうきびを効率的・安定的に生産できる体制づくりに努め、さとうきび生産農家の経営安定と製糖企業の健全な運営を促進することとしている。

 なお、計画の策定に当たっては、島ごとに関係者の総意に基づき、実現可能な目標を設定したところであり、今後、目標の達成に向けて、生産者はもとより、関係機関・団体一体となって取り組むこととしている。


資料:「甘しゃ糖生産実績」
 
資料:「甘しゃ糖生産実績」


3 生産目標及び目標達成に向けた取組計画
生産計画
○株出栽培の割合の増加(プロジェクト目標:1割程度増加)
         →県全体では、5%(種子島、与論島以外は、1割程度増加)
○株出栽培の単収の向上(プロジェクト目標:2割程度向上)
         →県全体では、30%の増

(1) 生産目標

資料:さとうきび増産計画

(単位:ha,kg/10a,t)
資料:さとうきび増産計画


(2) 目標達成に向けた取組計画
【主な課題】
1 大規模経営体や農作業受託組織等担い手の育成

(1) 地域ぐるみで農地、農業用機械・施設、労働力を効率的に活用する仕組みづくり
(2) 植付・株出管理も効率的に運営できる組織の育成
(3) さとうきび経営安定対策の推進






2 農業共済制度への加入促進
(1) 共済事業に対する農家意識が低い。
(2) 共済掛金率が各組合毎に一律となっているため、農家個々の被害の実態に応じていない。
(3) 一部地域において推進体制が弱く、また製糖工場や市町村、農協等との協力関係が不十分である。
3 機械化一貫体系の普及・確立
(1) 収穫・早期株出管理体系
(2) 植付から収穫までの機械化一貫体系の確立
(3) 調苗作業の省力化
(4) 農作業受託組織の育成
(5) トラッシュ率の低減






4 地力の増進
(1) ハーベスタ普及に伴う梢頭部やハカマの土壌還元量の減少
(2) さとうきび収益に比較して高い堆肥価格
(3) 堆肥原料となる家畜排せつ物の不足
(4) ハーベスタ利用等によるち密土層、盤層の形成




5 病害虫防除対策の推進
(1) ハリガネムシ類
 ア 培土時の粒剤散布は、労力的・経済的に導入しにくい。
 イ 灌注処理も効果は実証されているが、労力的に実施が困難である。
(2) メイチュウ類
  カンシャコバネナガカメムシは、発生予察を実際の防除に利用しているが、メイチュウ類に対しては、防除適期を予察できても年に数回発生するため、生育後期は散布作業が困難である。





6 優良品種の育成・普及
(1) 生産者への情報不足
(2) 原苗ほ、採苗ほの設置による優良種苗の計画的な普及・更新
(3) 優良種苗の大量増殖技術の活用
(4) 地域に適した優良品種の育成







 
【目標達成に向けた取組方向】
1 大規模経営体や農作業受託組織等担い手の育成

(1) 株出管理機、ハーベスタ等高性能機械を核とした効率的な機械化作業体系に応じた農地の利用集積
(2) 作業受託による担い手への農地の利用集積(規模拡大)
(3) 株出管理、春植作業を適期に行うための作業班の確保
(4) 沖永良部島、与論島等複合経営が多い地域において、さとうきび生産に係る労働力確保のための組織づくり等支援体制の検討
(5) 認定農業者や受託組織の育成及び制度の対象となる担い手としての生産者・生産組織の育成

2 農業共済制度への加入促進
 農業共済制度への加入率向上に向け、加入率が低い島においては、共済組合だけでなく市町村、農協等が一体となった加入促進に向けた取組を積極的に展開する。
 また、農家個々の実態に応じた共済掛金 率の導入を推進する。

3 機械化一貫体系の普及・確立
(1) ハーベスタの導入に併せた株出管理機の導入
(2) ハーベスタ収穫−株出管理を一連の作業として実施可能な機械化作業体系の確立
(3) 株出栽培の円滑な移行に対応できるハーベスタオペレーターの操作技術向上
(4) 株出に移行しやすい春植栽培を拡大するための調苗、植付の作業体系の確立
(5) ハーベスタ踏圧を軽減するための土壌物理性の改善
(6) 脱葉施設の整備などトラッシュ低減対策の促進
(7) ハーベスタが導入できない地域における効率的な作業体系の確立

4 地力の増進
(1) 梢頭部やハカマの土壌還元の推進
(2) 耕畜連携の推進
(3) バガス、ケーキの堆肥利用
(4) 安定的な堆肥施用が困難な地域における緑肥作物の導入
(5) 輪作体系による土づくりの推進
(6) 深耕・心土破砕や土壌診断に基づく土づくりの推進
(7) 堆肥製造施設の整備・活用

5 病害虫防除対策の推進
(1) ハリガネムシ
 ア フェロモントラップの設置による生息密度の低減
 イ 薬剤の植付時施用による植付苗の不萌芽防止
 ウ 生育期の株元かん注による不萌芽防止
(2) メイチュウ類
 ア 発芽最盛期前後の薬剤を散布
 イ 植溝の薬剤散布、生育初期の薬剤散布
(3) アオドウガネ
 ア 植付時の植溝又は全面土壌の薬剤処理
 イ 培土作業と同時の薬剤散布
 ウ 誘殺灯による成虫誘殺

6 優良品種の育成・普及
(1) 九州沖縄農業研究センター、県農業試験場、県農業開発総合センター、地元関係者と一体となった地域に適した優良品種の育成
(2) 新品種の普及に当たっては、栽培上の留意点等品種の特性に関する情報の生産者への迅速な提供
(3) 経営規模に応じた早・中・晩熟品種の組合せや栽培地域のほ場ごとの生産環境条件、作業体系に応じた品種の導入
(4) 種苗管理センターの原々苗ほ、県の原苗ほ、市町村等の採苗ほを含めた優良種苗の供給(及び種苗更新率の向上)
(5) 産地の状況に応じて増殖率の高い技術(メリクローン苗、側枝苗)を活用した優良品種の早期普及
(6) 島ごとの増産計画に基づく奨励品種の特性を踏まえた優良品種の計画的な普及



「島別の生産計画」

<種子島>
   生産計画
 ○ 面積の維持(担い手農家への農地の集積、作業受委託システムの確立等)
 ○ 単収の向上(収穫と植付管理作業の適期の実施等)
 ○ 品質の向上(新品種の導入、土壌土層改良等)




<大島本島>
   生産計画
 ○ 収穫面積の拡大(春植、株出体系への移行、休耕地への作付等)
 ○ 単収の向上(適期管理、担い手の育成等)




<喜界島>
   生産計画
 ○ 収穫面積の維持拡大(春植、株出体系への移行等)
 ○ 単収の向上(かんがい施設を活用したかん水の徹底、認定農業者、大規模生産
  農家の育成)



<徳之島>
   生産計画
 ○ 収穫面積の維持(休耕地、基盤整備地区への作付、春植、株出体系への移行等)
 ○ 単収の向上(かんがい施設を活用したかん水の徹底、認定農業者、大規模生産
  農家の育成



<沖永良部島>
   生産計画
 ○ 収穫面積の拡大(春植、株出体系への移行、自給野菜からの転換等)
 ○ 単収の向上(適期植付、かん水の徹底、認定農業者、大規模生産農家の育成)



<与論島>
   生産計画
 ○ 収穫面積の維持(遊休農地、基盤整備地区への作付等)
 ○ 単収の向上(適品種の普及、かん水の徹底、集落ぐるみの営農の確立等)




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