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ソースについて

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最終更新日:2010年3月6日

砂糖類ホームページ/国内情報


今月の視点
[1999年6月]

(社)日本ソース工業会 参与 岡部 勝雄


●ソースの沿革、 歴史  ●ウスターソース類の種類と特徴
●ウスターソース類の原材料  ●ソースの味の秘密
●ソースと砂糖とのかかわり  ●ソース業界の現況


ソースの沿革、 歴史

 ソースは、英語、フランス語、ドイツ語、ともにスペルは同じ「SAUCE」であり、その語源はラテン語の「SAL」といわれている。この「SAL」は給料を意味するサラリーと同じルーツでラテン語の「サラリウム」から出ており、その原義は“塩の供給”である。したがって“ソース”という言葉は、食塩を使用して作られた液体調味料の総称であるといえる。世界各地で長い歴史と環境のもとに育まれた各地域独自の食文化に応じた固有のソース、液体調味料があるといえる。
 フランス料理やイタリア料理等は料理の主材料をよりおいしくするために、料理ごとに調和するソースが作られるともいわれており、いわばソースは料理そのものとも言える面もあり、一品の料理に1つのソースといわれるほどソース作りが重要視されている。世界で最も洗練された料理といわれているフランス料理はブルボン王朝時代(1589〜1830年)に完成されたといわれているが、フランス料理に欠かせない基本的なベシャメルソース、ドミグラスソース等もこの時代に作り出され発展したといわれている。
 一方、ヨーロッパでは各家庭や地方ごとにそれぞれの好みに応じて辛味、香り、色付けのための香辛料や調味料を使い分けて料理に合わせたソースを作るといった習慣があったといわれている。
 このようなことから広い意味でのソースといえば、ウスターソースだけでなくトマトケチャップ、マヨネーズ、ホワイトソース、醤油、焼肉のたれなど料理に「かける」、「混ぜる」、「炒める」、「煮る」などして料理の味を引き立たせる調味料は全てソースの範疇に入るといえる。
 わが国においても食生活の多様化に伴い、種々のソース類、調味料類が食卓を賑わしているが、代表的なソースとして、ウスターソース類(ウスターソース、中濃ソース、濃厚ソース(とんかつソース)、お好みソース、焼そばソース、ハンバーグソース、たこ焼ソース等)、トマトソース類(トマトケチャップ、トマトソース、チリソース等)、マヨネーズ・ドレッシング類、パスタソース類(ミートソース等)、中華ソース類(麻婆ソース等)、たれ類(焼肉のたれ、焼鳥のたれ、蒲焼のたれ等)、ドミグラスソース、ホワイトソース、ステーキソース等を挙げることができる。
 しかし、わが国でソースといえば一般的には、ウスターソース、中濃ソース、濃厚ソース、すなわちブラウン系のウスターソース類を指すことが多いが、これは明治の文明開化とともに最も早く伝来し、かつ、多くの人々の嗜好にも合う馴染んだ洋風調味料であったからであろう。
 以下、このウスターソース類に限定して記述する。
 ウスターソースは、その名のとおりイギリスのウスターシャー州の州都ウスター市で初めて作られたことから、ウスターソースとかウスターシャーソースと呼ばれるようになった。起源については諸説あるが、一説は、ウスター地方の主婦が余った野菜や果物の切れはしを有効に使おうと胡椒やとうがらしなどの香辛料を振り掛け、腐敗しないように食塩、食酢を加えて保存しておいた、そして何ヵ月かしてツボを開けてみたら野菜や果実が自然に溶けて液状になっており、味見をして使ってみたところ料理によく調和する。これが評判となって近所の家庭でも作り出したのが「ウスターソース」の始まりとされている。他方、1800年代の中頃、マーカス・サンデー卿がインド・ベンガル州総督の任務を終え帰国する際、現地のソースの調合法を持ち帰り、ウスター市で2人の化学者ジョン・リーとウイリアム・ペリンスにそのソースの試作を依頼した。そして、新しいタイプのソースを作り上げた。これが好評を博したので「ウスターソース」の名称で製造・販売を始めた。ウスターソースの製造者として、現在もウスター市で盛業中のリー&ペリン社である。
 このウスターソースは、わが国には江戸時代末期に伝来したとの説もあるが、実際に味を知ったのは幕末から明治維新にかけて渡来した外国人と接触した日本人が、その味を知ったのが始まりであろう。特に、西洋化のシンボルでもあった鹿鳴館時代には、チョコレートやアイスクリーム等の菓子類やパン、バター、チーズなどの新しい食品とともにウスターソースも東京、横浜、神戸などに出始めた洋食屋で使われ始めたといわれている。
 ソースについては、明治5年刊行の「西洋料理指南」に「醤油ナリ。此品ハ我国二有セス我醤油ヨリ上品トス。舶来品ヲ用ユベシ」とあり、西洋の醤油と認識されたようである。いずれにしろ文明開化の伸展とともに一般化していった。
 しかし、外国におけるウスターソースの使い方は、一般的にはスープやシチューなどに数滴落として風味をつけたり、調理の際の味付けに使うものであるが、日本には、醤油を副食物などに掛けたり、漬けたりして食べる習慣があったことから、この輸入された醤油に似ているウスターソースを醤油と同じような感覚でたっぷりかけて使ったところ、酸味や香辛料の味が強すぎて日本人の味覚にはあまり馴染めなかったようである。そのため、日本人の味覚に合うよう種々工夫され、日本風な味のウスターソースが誕生した。言わばウスターソースは外国生まれの日本育ちの調味料といっても過言ではない。先にも触れたように、現在でもわが国でソースといえば一般的にウスターソースがソースの代名詞となったのは、一番早く一般に普及し馴染まれたからであろう。
 ソースの製造に最初に着目したのは、ヤマサ醤油(株)の七代目浜口儀兵衛氏で、明治17年米国遊学中にウスターソースが瓶詰で売られているのに注目、米国から会社に対して醤油を原料としたソースの製造を奨めてきたので、八代目浜口儀兵衛氏が研究を重ね、新しいソースを製造した。このソースをサンフランシスコに送り三角形のガラス瓶に詰めて、「ミカドソース」の商標で販売する一方、国内向けには「新味醤油」の商標で売り出したが、一般の人々に味が馴染まれないまま、製造販売後1年程で製造は中止された。
 なお、明治18年に特許制度が公布されたが、同社はこのソースの製造特許を、明治18年9月28日に出願し、1ヵ月後の10月30日に「製造特許第53号」として成立している。以下に示すのがその全文で使用法、製造法などの記述があり、当時の食文化の一端を垣間見ることができる。
 「名称:新味醤油洋食和食共二調和シテ用ユ可キ極テ好味ナル新規有益ノ新味醤油ヲ発明セリ之ヲ左ニ明解ス。
 此ノ新味醤油ハ日本醤油、西洋酢、蕃椒、胡椒、丁字、蒜、胡すい子ノ七品目ヨリ成ル乃チ其成分ノ割合ヲ掲クルコト左ノ如シ
 日本醤油1斗、西洋酢5斗、蕃椒1500匁、胡椒500匁、丁字400匁、蒜250匁、胡すい子150匁
 此ノ醤油ヲ製スルニハ日本醤油二西洋酢、蕃椒、胡椒、蒜、胡すい子ヲ混和シテ大約2月間放置シ而シテ布袋デ以テ濾過スルモノトス。此ノ醤油ノ用法ハ西洋ノ「テーブルソース」ニ異ナラス牛肉或ハ魚肉等調理品ニ和スルトキハ鹹味ヲ増シ一種ノ芳香ヲ放チ食物ヲシテ一層美味ナラシムルノ効アリ
 此ノ発明ノ専売特許ヲ請求スル区域ハ上文記載ノ如ク日本醤油、西洋酢、蕃椒、胡椒、丁字、蒜、胡すい子ヲ以テ製造スル新味醤油是ナリ」

 しかし、洋食の普及はめざましく日本人の味覚に合ったソースの国産化の努力が続けられ、ミカドソースの製造中止後7年経ってまず関西地方で製造された。明治27年に「三ツ矢ソース」(越後屋:布谷徳太郎氏)、明治29年に「錨印ソース」(現イカリソース)(山城屋:木村幸次郎氏)、明治32年に「白玉ソース」(野村洋食料品製造所:野村専治氏)が、関東地区では明治33年「矢車ソース」(伊藤胡蝶園:長谷部氏)、明治38年「犬印ソース」(現ブルドックソース)(三澤屋商店:小島仲三郎氏)、明治39年「MT大町ソース」(大町信氏)、明治45年「スワンソース」(現チキンソース)(荒井長次郎氏)が発売されている。中部地区では明治41年に 「カゴメソース」(愛知トマトソース製造(現カゴメ:蟹江一太郎氏))が発売されるなど明治後半には各地で多種多様なソースが登場し、日本のソース業が勃興した。
 こうして全国的に生産・販売され、日本人にウスターソースが知られて利用されるようになると、「ソースといえばウスターソース」という認識が定着するとともに、その他の洋風調味料も使われるようになった。ちなみに、トマトケチャップは明治40年に前述の蟹江一太郎氏がカゴメケチャップを、マヨネーズは大正14年に中島薫一郎氏がキューピーマヨネーズをそれぞれ製造販売を始めた。
 大正時代には、とんかつやフライが庶民の人気を集める一方、第一次世界大戦の勃発によって始まった好景気によりソースの製造業者が増加した。この頃から醤油メーカーが調味料としてのソースに着目し始め、大都市を中心にソースの製造に着手、原料の潤沢さとメーカーの競合とによって、生産量も増加し品質も著しく向上した。
 この頃、ソース業界に2つの流れが生まれた。1つは輸入品に近いものを作ろうとする動き、もう1つは醤油に馴染んできた日本人の味覚・嗜好に合うものを作ろうとする流れである。さらに、第一次世界大戦景気の反動としての不況時代に入った昭和初期に、別な方向として、できるだけ良い原料を使って高級品を作ろうとする企業と、安く作って値段で競争していこうとする低級品との競合である。この動きは、戦時経済が進み、やがて統制経済に至るまで続くこととなった。
 全国各地にソースメーカーが誕生し製造を始めると、醤油、味噌に地域的特性があるようにソースにも、関東は甘みの強いもの、関西は酸味の強いもの、その他に辛味の強いものといったような傾向が生じ、現在もこの傾向が継承されている。
 昭和10年代以降の戦時体勢下では、各種原材料の高騰や配給統制が強化されるなどして品質の低下とともに生産量も減少した。特に、昭和19年2月からはソース業界への砂糖の配給はゼロになり、ソースの品質もそれまでの規格を守ることは不可能となり、同年5月全国ソース工業統制組合は農商務省に対し「無糖ソース」製造の認可申請を行った。
 表1は昭和20年を中心とした洋風調味料の生産量の推移である。ウスターソースは、トマトケチャップ、マヨネーズの生産量に比べて圧倒的に多く、昭和15年に66,000klの生産量があり、当時の人口、外食産業等を勘案すると家庭内の消費量は相当多かったものと考えられる。また、戦後昭和30年にようやく戦前の水準まで回復したことを示している。

表1:洋風調味料の生産量推移
品目
年次  
ウスターソース
(kl)
濃厚ソース
(kl)
トマトケチャップ
(t)
マヨネーズ
(t)
昭和10年
  15 
  20 
  25 
  30 
  35 
  40 
67,410
65,880
5,760
43,200
66,960
69,303
77,591





28,453
45,780
2,140
3,500
875
3,000
8,250
16,700
27,342
500


250
3,600
15,574
50,581
注:濃厚ソース25年、30年はウスターソースに含む。 資料:農林水産省

 終戦後、敗戦国の現実として戦時中からの物資不足の状態が続いており、砂糖、食塩、食酢、香辛料、野菜等の原料入手難に加えて、燃料、瓶等の材料欠乏に直面していた。
 このような時に、昭和21年7月、砂糖の代替品としてサッカリンとズルチンの使用が許可され、原料としての砂糖が不足する中、昭和19年の無糖ソース以来、甘味のあるソースが製造されるようになり、甘味に飢えていた消費者の嗜好とマッチして、人工甘味料使用品が全盛期を迎え、昭和31年のチクロ使用許可によりさらに味のよいソースが作られることとなり、チクロ使用ソースが全盛期を迎えた。
 一方、ソースの糖源不足は全く新しいソースも生み出した。昭和20年の終戦時までソースは現在のウスターソースのみが製造されていたが、戦後のソースの特色は、戦時中の甘味不足の反動からか甘いものが好まれるようになり、次第に甘味が強く、酸味が弱く辛味の少ないものとなった。また、従来の野菜類の他に甘味のあるりんご等果実類を使用してとんかつソース、フルーツソースと呼ばれる粘度の濃い日本独特の濃厚ソースが登場した。さらに30年代後半には、ウスターソースと濃厚ソースの中間的な粘度の中濃ソースが発売され、その口当たりの良さから東日本方面に急速に普及した。
 昭和43年のズルチン、44年秋のチクロと相次いだ甘味料の使用禁止はソース業界にソースの高品質化を促すきっかけとなった。すなわち、全糖・醸造酢を使用し、食品添加物もできるだけ使用しない純正食品化を目指す品質競争の時代に突入した。
 チクロの使用禁止後、業界自主規格を設定し、業界ぐるみでソースの全糖化とともに品質向上に取り組んだ。
 さらにこの自主規格を基準にしてウスターソース類の日本農林規格(JAS)の制定を目指し、昭和49年6月「ウスターソース類の日本農林規格」が告示された。
 その後、ソースの多様化、消費者の嗜好の変化に対応すべく規格基準の見直しが行われ、平成8年10月に「ウスターソース類の日本農林規格」が全面改正された。
この時の主要な改正点は
1 消費者の嗜好の変化により低酸度のソースが多くなってきたことから、規格から「酸度」の基準を削除したこと。
(広島地方を中心とした低酸度のお好みソース(製品の性状からみると濃厚ソースとなる。)が伸長していることから、これらも規格内に取り入れた。)
2 食品添加物も含めて、使用原材料がポジリスト化されたこと。

 なお、その他に、昭和48年、49年に発生したオイルショック時に代替甘味料として高糖分を含んでいるイラク産デーツの使用について調査・検討し業界として数年間輸入し原料として使用したが、輸送包装形態、品質、タネを除去する技術的困難性、さらに異性化糖が市場に浸透、この異性化糖がデーツの糖組成に似ていること等からデーツのコストメリットも無くなり、糖源としてのデーツの利用は無くなった。しかし、果実の一種として製品差別化のために一部ソースに使用されている。

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ウスターソース類の種類と特徴

 トマトケチャップはトマト、マヨネーズは卵と油脂と、主原料が何であるかを思い浮かべることができるが、ウスターソース類の主原料を言える人は少ないようである。
 日本農林規格(JAS)ではウスターソースについて表2のように定義している。

表2:ウスターソース類の日本農林規格(定義)
用 語 定   義
ウスターソース類 次に掲げるものであって、茶色または茶黒色をした液体調味料をいう。
1.野菜若しくは果実の搾汁、煮出汁、ピューレーまたはこれらを濃縮したものに糖類、食酢、食塩及び香辛料を加え調整したもの。
2.1にでん粉、調味料を加えて調整したもの。
ウスターソース ウスターソース類のうち、粘度が0.2パスカル秒(以下「Pa・s」という。)未満のものをいう。
中濃ソース ウスターソース類のうち、粘度が0.2Pa・s以上1.5Pa・s未満のものをいう。
濃厚ソース ウスターソース類のうち、粘度が1.5Pa・s以上のものをいう。

 ウスターソース類とは「野菜・果実類に糖類、食酢、食塩等の調味料類、それに香辛料を加えて調製した茶色または茶黒色の液体調味料をいう」となっている。そして、ここに掲げられているようにウスター、中濃、濃厚の区分は粘度の違いであり、いわば製品の性状に基づいた分類ということになる。基本となる主原料の種類はそれほど変わらないが、トマトやりんご等のパルプ質の量の多少が粘度の違いに影響を与えることとなる。一方、最近のウスターソース類にはとんかつソース、焼そばソース、お好み焼ソース、たこ焼きソース、ハンバーグソース等の名称のソースがあるが、これらの名称は使用目的を名称とした商品名であり、これらのソースも性状に従つて区分すると3つのカテゴリーに分けることができ、それらの特長は次のようになる。
1 ウスターソース
 野菜や果実のパルプ質(不溶性固形分)をほとんど含まないため粘度が低くさらりとした辛口のソース。
2 中濃ソース
 ウスターソースと濃厚ソースの中間に位置するもので、ピリッとした味と甘くソフトな味のソース。パルプ質(不溶性固形分)も濃厚ソースに比べやや少なく、粘度はウスターと濃厚の間ぐらい。
3 濃厚ソース
 とんかつソースともいわれているが、(かつては、フルーツソースともいわれていた。)果実類を多く使用し、果実と野菜(特にトマト)のパルプ質を多く含みトロリとして甘くソフトな風味が特長のソース。
4 お好みソース・焼そばソース
 お好みソースは性状からすると中濃ソースか濃厚ソースに属するが、ツンと鼻にくる刺激臭のもとである酸味、塩味を抑え、その分甘味が強く、粘度が高いのが特長。
 焼そばソースは、ウスターソースか中濃ソースに属し、酸味、塩味はウスターソースタイプ、粘度は中濃ソースタイプ、また醤油、カツオエキス等の各種調味料類を使用しているのが特長。

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ウスターソース類の原材料

 ソースの必須原料は野菜・果実、食酢、糖類、食塩、香辛料であるが、共通して使用される代表的な原料は次のとおりである。
1 野 菜
 最も一般的に使用されるのは、たまねぎ、トマト、にんじん、セルリーである。香辛料的なニンニク、ショウガもよく使われ、その他マッシュルーム、ねぎ等も使用されている。
2 果 実
 リンゴが最も一般的で、その他に柑橘類、プラム、プルーン、デーツ、タマリンド等が使用されることもある。
3 食 酢
 醸造酢が一般的に使用されるが、穀物酢、米酢等その風味を重視した使い方もある。
4 糖 類
 ソースは果菜類または調味料類に由来する各種アミノ酸と糖類とが製造工程中(蒸煮又は熟成)でメイラード反応(アミノカルボニル反応)を起こし、ソース特有の茶色または茶黒色の色調となるので、使用する糖類の着色度にはこだわらない。一般的なのは蔗糖液糖と異性化液糖である。異性化液糖としてはブドウ糖の多いもの(42%もの)果糖の多いもの(55%もの)または蔗糖液糖を混合したものが用いられる。
 この他に上白糖、三温糖、精製ブドウ糖、水あめ等も使用されることもある。
5 食 塩
 通常並塩が使用されるが、一部いわゆる天日塩等の自然塩が使用されることもある。
6 香辛料
 使用される香辛料は一般的に10数種類で、その組み合わせと配合割合が特長あるソース作りのポイントとなる。とうがらし、ブラックペッパー、ローレル、オールスパイス、グローブ、ホワイトペッパー、セイジ、フェヌグリ一ク、キャラウェイ、シナモン、クミン、タイム、フェンネル等が使用されている。
7 任意原料
(1) でん粉等
 中濃・濃厚ソースにパルプ質の沈殿防止、ソースの保水性を向上させるためにコーンスターチ等のでん粉類を使用することがある。
(2) 調味料類
 味の多様化、独特の風味付けのために醤油、アミノ酸液、畜肉・魚介エキス(ビーフエキス、オイスターエキス等)、海藻・キノコエキス(コンブエキス、シイタケエキス等)、ワイン等が使用されることもある。
(3) 甘味料
 天然甘味料であるステビア、甘草等が使用されることもある。

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ソースの味の秘密

1 ソースの香り(素材の香りをブレンド)
 ソースの香りは、たまねぎ、にんじん等の香味野菜や果実に10数種類の香辛料を混ぜ合わせ、食酢でまろやかにしたもの。つまり、数多くの素材の香りのブレンドから生まれてくる。特に重要なのはスパイス、香辛料の選択とその配合割合によって香りは変化し、辛味にも大きな影響を与える。「ソースの味のノウハウは、香辛料の選択とブレンドの加減にある」とさえいわれている。
2 「酸味の角(カド)」を取る
 ソースの微妙な味は、原料同士が醸し出す味と酸味による。ソースの酸味は、食酢と野菜・果実に含まれているクエン酸、リンゴ酸等である。食酢の主成分の酢酸はツンとして舌を刺激するが、加熱すると酢酸が蒸発し酸味は柔らぐ。これに対し野菜などの原料に多く含まれるクエン酸等は不揮発性なのでツンとくる風味はなく、また加熱しても同じ酸味が残る。おいしい酸味は、酸味同士の相乗効果で酸味を穏やかにすることである。
3 辛味をブレンド
 ソースの辛味はたまねぎやにんにくに含まれる揮発性のツーンと鼻を刺激する辛味と胡椒、とうがらし等に含まれる不揮発性の辛味である。この辛味がよく調和してソース独特の辛味を作り出している。

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ソースと砂糖とのかかわり

 ソースの主原料は前述したように野菜・果実、食酢、糖類、食塩、香辛料であるが、糖類の働きは単に甘味をつけるだけでなく、ソースにツヤとコクをつけたり、また野菜や果実類の甘味をまろやかな甘味に仕上げる等ソースにとって重要な働きをしている。
 ソースに使われている糖類としては、蔗糖、異性化糖、ブドウ糖、水あめ等であり、主に用いられる蔗糖は上白糖、三温糖、キザラ、糖蜜である。
 なお、ソース業界での糖類の使用量は、推定3万8千トン程度である。
 また、コクづけと味のソフト化のために甘草、ステビアが使用されている。

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ソース業界の現況

 ウスターソース類製造業者は130社程度(推定)であるが、首都圏(東京、埼玉)、中部(愛知)、近畿(京都、大阪、兵庫)、広島、福岡等比較的大都市及びその周辺に集中しており、消費立地型業種ということができる(食品衛生法に基づくソース類製造業営業許可施設数は平成9年度末で全国で1,610ヵ所あるがマヨネーズ、ドレッシング、トマトケチャップ、たれ類、中華ソース等すべてのソース類を含み、毎年増加している。)
 ウスターソース類の生産量は、平成9年度実績で約16万klとなっており、ここ数年は微増で推移している(表3参照)。ソースといえばウスターソースを指すぐらい、一般に普及し馴染まれてきたが、特に、近年の食生活の多様化、ライフスタイルの変化に伴う競合調味料類・ソース類の出現が消費低迷に影響を与えているものと考えられる。また、ウスターソース類のうち、古くから馴染まれていた一番ポピュラーなウスターソースの減少が著しく、お好みソース、焼そばソース等の専用ソースが伸びて全体として微増で推移している。その原因としては、ウスターソースは主として料理の下味付けなどに使用することが一番の利用法であるが、一般家庭における手作り料理の減少、ソースの利用方法の変化、消費者の嗜好の変化等によるものと考えられる。

表3:ウスターソース類年次別生産状況
(単位:kl)
品目
年次  
ウスター
 ソース
中濃
 ソース
濃厚
 ソース
お好み
 ソース
焼そば
 ソース
ハンバーグ
 ソース
昭和60年 55,330 34,557 31,464 12,141 4,276 2,583 140,351
平成2年 46,097 33,581 33,023 19,284 10,365 3,617 145,967
  5年 45,014 34,054 32,027 25,751 13,847 3,837 154,530
  6年 44,966 33,960 30,859 27,086 14,493 4,132 155,496
  7年 43,511 33,091 33,385 28,300 15,879 4,206 158,372
  8年 43,199 33,318 34,066 29,430 16,688 4,141 160,842
  9年 41,735 32,732 34,107 30,590 17,056 5,254 161,474
資料:農林水産省食品流通局調べ

 その他のソース、すなわち、たれ類(焼肉のたれは横ばいであるが、しゃぶしゃぶのたれ、蒲焼きのたれなどその他のたれ類の生産量は増加している。)、パスタソース類、中華ソース類等の専用ソースの生産量は堅調に伸びているが、これらソース類の中にあっても全体的にみるとウスターソース類が首位を占めている(表4参照)。

表4:その他ソース類年次別生産状況
単位:トン
年次
品目        
平成5年 平成6年 平成7年 平成8年 平成9年
パスタソース類
 パスタソース
 ピザソース
 ミートソース
   計
 
19,211
3,169
38,143
60,523
 
23,348
3,820
38,630
65,798
 
25,262
3,876
39,329
68,467
 
27,211
5,228
36,625
69,064
 
32,754
4,867
35,886
73,507
中華ソース類
 中華ソース
 麻婆ソース
   計
 
16,013
19,959
35,972
 
18,806
21,539
40,345
 
20,922
20,269
41,191
 
21,443
20,715
42,158
 
21,693
21,108
42,801
ステーキソース類
 ステーキソース
 テリヤキソース
 スペアリブソース
   計
 
4,560
1,177
426
6,163
 
5,196
2,116
388
7,700
 
5,656
2,042
314
8,012
 
5,111
1,754
300
7,165
 
5,961
1,899
309
8,169
ホワイトソース類
 ホワイトソース
 タルタルソース
   計
 
9,779
5,239
15,018
 
13,669
8,186
21,855
 
13,286
9,408
22,694
 
11,635
10,067
21,702
 
11,777
9,824
21,601
その他ソース
 デミグラスソース
 オイスターソース
 ケチャップソース
 その他
   計
 
17,158
2,283
1,604
3,988
25,033
 
15,628
3,015
1,860
4,394
24,897
 
15,019
2,675
2,264
5,160
25,118
 
14,874
3,459
1,876
5,221
25,430
 
16,557
3,453
1,565
4,077
25,652
合  計 142,709160,595165,482165,519171,730
資料:農林水産省食品流通局調べ

 ウスターソース類の輸出量、輸入量は通関統計からは不明であるが、ウスターソース類も含まれている「その他ソース」の輸入量は、わが国の食文化の多様化、国際化を受けて年々増加する傾向にあり、平成10年実績で30ヵ国・地域から約3万5千トン、約101億円輸入されている。
 次に国民1人当たりのソースの年間消費量は約1.3リットルとなるが、ウスターソース類の消費は家庭以外に食堂、レストラン等の外食産業並びに給食等業務用消費も大きな比重を占めている。平成9年の総務庁家計調査報告によると、全国1世帯(3.34人)当たりソース購入数量は1.898リットルとなっている。これを都市別にみると、多い都市は広島市3.070リットル、神戸市2.850リットル、岡山市2.755リットル、奈良市2.755リットル、大阪市2.660リットルと中国・近畿地区の都市であり、少ない都市は、那覇市0.889リットル、秋田市1.098リットル、仙台市1.184リットル、新潟市1.2128リットル、甲府市1.248リットルで、主として東北地区の都市が少なく、多い都市と少ない都市とでは3.4倍以上の開きがある。
 10の料理があれば10種のソースが、100の料理があれば100種のソースがあるといわれるほどソースは幅広く、また、食生活を豊かにし、食を楽しむためには料理素材も大切であるが料理の“旨い”“拙い”を決めるのは使用するソースによるといっても過言ではありません。
 いずれにしても、今後は消費者ニーズを的確に把握し「より味のよい、より使いやすいソース」、「食を豊かに、楽しめるバラエテイーに富んだソース」の開発・提供が求められ、このことは必然的に多品種・少量生産となる可能性があり、より一層原材料の調達コスト、生産工程の合理化等コスト削減が重要課題となつてくることはまちがいありません。
 最後に、(社)日本ソース工業会では、平成8年から『「自然にありがとう」のソースです』を主眼としてウスターソース類の普及・宣伝、消費拡大に努めているところです。

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