砂糖産業に関する全般的な情報
1.国内の需給バランス
フランスの砂糖産業は、ビート糖、甘しゃ糖及び精製糖の3部門から構成されている。最も大きくかつ重要な部門は、原料糖換算で年間400万トン以上を生産しているビート糖産業である。フランスはまた、DOM(海外県)のグアドループ諸島及びレユニオン諸島に所在する年間約25万トンの原料糖を生産している小規模な甘しゃ糖産業がある。最後に、ロメ協定の砂糖議定書によってACP(アフリカ、カリブ及び太平洋)諸国から輸入される原料糖とともにDOMから移入される原料糖を精製する2ヶ所の精製糖工場が存在する。
フランスのビート産業は、国土の北半分に広がっている。ビートは、民間の農場において栽培され(1農場当たりのビートの平均栽培面積は、11haである)、合計42ヶ所の工場で加工されている。
EUを構成する15ヶ国のうちでも、フランスは最大の砂糖の生産国であり、輸出国である。(ビート糖及び甘しゃ糖の)生産量は、1994/95年〜1996/97年の3シーズンで、原料糖換算で平均470万トンに達しているが、同期間における輸出は、原料糖換算で平均290万トンであった(表:フランス1を参照)。
表:フランス1 砂糖の需給バランス〔1994/95−1996/97〕
| 1994/95 | 1995/96 | 1996/97 |
生 産(注1) | 4,595 | 4,832 | 4,812 |
消 費(注2) | 2,183 | 2,200 | 2,174 |
輸 入 粗糖 白糖 合計 |
114 84 198 |
130 116 246 |
270 146 416 |
輸 出 粗糖 白糖 合計 |
19 3,053 3,072 |
28 2,850 2,878 |
42 2,734 2,776 |
在庫変化 | (461) | 0 | 279 |
注: |
1. |
DOMを含む(表:フランス3を参照)。 |
2. |
(1994/95年の45千トン、1995/96年の43千トン、1996/97年の43千トンであった)DOMを含む。 |
出典:CEFS、F.O.Licht。 |
フランスの消費量の数字には、(原料糖換算で)年間約4.5万トンを占めるDOMにおける消費量が含まれている。これは、フランス本国の2ヶ所の精製糖工場で精製するために、平均(原料糖換算で)約19万トンの原料糖が毎年DOMからフランスに積み出されていることを示している。これはフランスの一地域から他の地域への移転と見なされるため、これらの積出しはフランスの輸入としては記録されていない。
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2.ビート及びビート糖等の生産実績
フランスのビートの栽培面積は、現在、比較的安定しており、約42万haである(表:フランス2aを参照)。ビートの栽培面積を拡大することは、砂糖政策によって制限されている。なぜならば、EUの砂糖制度によって、固定された国内割当を超えて生産された砂糖は、価格支持を受けることなく世界市場に販売されなければならないからである。このような余剰の砂糖が受けるマイナス面は、原料ビート価格に反映され、このことがビートの栽培面積を制限する役割を果たしている。表:フランス2aはまた、ビート部門が、近年、常にフランスの農業生産総額の約3%を占めていることを示している。これは、A割当及びB割当を生産しているビート栽培農家が受け取るビートの保証価格があるために、中期的には概ね変わることなく推移するものと思われる。
表:フランス2aは、フランスのビート産業の技術的な実績に焦点を当てている。工場経営が効率的であるとともに、平均根中糖分が比較的高いために、フランスの砂糖産業は極めて良好な原料処理量/産糖量の比率(TB:TS)を達成している。フランスのビート生産者は、EUの中でもトップレベルである。ビートの生産量は、常に、1ha当たり55トン〜60トンであり、根中糖分は、1994/95年〜1996/97年の期間には平均18.1%であった。
フランスのビート生産量の約20%は、灌漑されている地域からのものである。ビートの灌漑は、浅い土壌及び比較的少ない年間降水量のために干ばつの害に遇いやすい南部のビート栽培地域においては、ごく当たり前に行われている。
表:フランス2a ビートの農業生産〔1994/95−1996/97〕
| 単 位 | 1994/95 | 1995/96 | 1996/97 |
収穫面積 | 千ha | 410 | 430 | 422 |
ビート生産高 | 千トン | 23,926 | 25,857 | 23,440 |
ビート単収 | トン/ha/年 | 58.4 | 60.2 | 55.5 |
砂糖生産量 | 千トン;粗糖換算 | 4,364 | 4,565 | 4,525 |
原料処理量/産糖量 | トン | 5.5 | 5.7 | 5.6 |
A ビート生産額 | 千US$ | 1,094,248 | 1,117,777 | 1,187,829 |
B 農業生産額 | 千US$ | 35,298,307 | 37,259,236 | 35,994,825 |
A/B比率 | % | 3.1 | 3.0 | 3.3 |
フランスの甘しゃ糖産業は、インド洋のレユニオン諸島及びカリブのグアドループ諸島に所在している。この地域は、フランスの海外県(DOM)である。レユニオン諸島の砂糖産業は、規模が大きく、1996/97年には(白糖換算で)20万トン近く生産し、グアドループ諸島では、同シーズンに約5.7万トンを生産している。
表:フランス2bは、レユニオン諸島及びグアドループ諸島のさとうきび産業の技術的な実績に焦点を当てている。これらの地域によるさとうきびの平均単収は、ブラジル、インド及びアメリカ合衆国における単収に匹敵している。しかし、さとうきびの糖度は、グアドループ諸島では特に低いが(10%未満)、レユニオン諸島は国際的な水準と比較してやや高い平均糖度13%を常に達成している。
DOMのさとうきび産業は小規模であるため、フランスにおける農業生産総額に占める割合は僅かである(表:フランス2b)。
表:フランス2b さとうきびの農業生産〔1994/95−1996/97〕
| 単 位 | 1994/95 | 1995/96 | 1996/97 |
収穫面積 | 千ha | 42 | 41 | 36 |
きび生産高 | 千トン | 2,157 | 2,463 | 2,407 |
きび単収 | トン/ha/年 | 51.7 | 59.9 | 66.0 |
砂糖生産量 | 千トン;粗糖換算 | 232 | 268 | 287 |
原料処理量/産糖量 | トン | 9.3 | 9.2 | 8.4 |
A きび生産額 | 千US$ | 41,055 | 46,820 | 48,140 |
B 農業生産額 | 千US$ | 35,298,307 | 37,259,236 | 35,994,825 |
A/B比率 | % | 0.1 | 0.1 | 0.1 |
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3.生産量及び消費量の内訳
表:フランス3は、フランスの砂糖の総生産量の内訳を示している。これには、フランスにおけるビート糖の生産量、DOMにおける甘しゃ糖の生産量及び(DOM以外の原産国から)輸入された原料糖から精製された砂糖の生産量が含まれている。DOM及び精製糖部門が総生産量に対して僅かな割合しか占めないため、ビート糖の生産量がフランスの砂糖部門の最も重要な位置にあることは明らかである。
表:フランス3 砂糖生産の内訳〔1994/95−1996/97〕
| 1994/95 | 1995/96 | 1996/97 |
ビート糖 | 4,364 | 4,565 | 4,525 |
甘しゃ糖(DOM) | 232 | 267 | 287 |
精製糖 | 109 | 180 | 130 |
合 計 | 4,704 | 5,013 | 4,943 |
表:フランス4は、1994年〜1996年のフランスの砂糖の消費量の内訳を示している。この期間、実需者利用は、砂糖の総消費量の約61%を占めている。この部門においては、トップのエンド・ユーザーは、飲料産業であり、(粗糖換算で)年間約32.5万トンの砂糖を消費しており、これは国内の砂糖の総消費量の15%近くを占めている。他の重要なエンド・ユーザー部門は、菓子製造業及び製パン業部門である。
表:フランス4は、現在の用途別消費動向を示している。長期的には、家庭消費量はゆっくりとした減少傾向にあったが、特定のエンド・ユーザー部門における消費の長期的な増加は過去20年間にわたって特に強かった。飲料産業及び乳製品産業は、急速に成長しているが、1970年代の主なユーザーであったチョコレート及びビスケット産業は、消費が低下してきている。
表:フランス4 砂糖消費量の内訳〔1994−1996〕
|
1994年 | 1995年 | 1996年 |
千トン | % | 千トン | % | 千トン | % |
家庭用消費 | 868 | 39.1 | 844 | 38.4 | 868 | 38.8 |
実需者利用 飲 料 パ ン 類 菓 子 類 乳 製 品 缶詰製品とジャム 他の用途(食品外含む) 小 計 |
323 246 272 201 104 231 1,352 |
14.5 11.1 12.3 9.0 4.7 10.4 60.9 |
326 251 257 208 104 230 1,353 |
14.8 11.4 11.7 9.5 4.7 10.5 61.6 |
325 255 271 214 104 224 1,367 |
14.5 11.4 12.1 9.6 4.6 10.0 61.2 |
合 計 | 2,221 | 100.0 | 2,197 | 100.0 | 2,236 | 100.0 |
1人当たりの消費量(kg/1人) | 38.4 | 37.8 | 38.3 |
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4.異性化糖の位置付け
EUの砂糖制度によって、フランスにおける異性化糖の製造は、国内生産割当によって制限されている。フランスの割当は、約2万(固形換算)トンである。この割当は、ロケット・フレール1社によるものである。
表:フランス5は、フランスのカロリー甘味料の総生産量における異性化糖のシェアは1%未満と僅かであることを示している。約6万(固形換算)トンの異性化糖が、近隣のEU諸国(主にベルギー)からフランスに輸入されている。
グラフ:フランス1は、1994/95年〜1996/97年の期間のフランスの砂糖及び異性化糖の需給バランスを示している。フランスの甘味料産業において、異性化糖の役割が僅かであることを、このグラフは示している。また、大量の輸出可能な余剰砂糖も示している。
表:フランス5 異性化糖・砂糖の生産量及び消費量〔1994/95−1996/97〕
| 1994/95 | 1995/96 | 1996/97 |
生 産 量 |
砂糖 | 4,595 | 4,832 | 4,812 |
異性化糖 | 20 | 20 | 20 |
%(異/砂) | 0.4 | 0.4 | 0.4 |
消 費 量 |
砂糖 | 2,183 | 2,200 | 2,174 |
異性化糖 | 84 | 74 | 78 |
%(異/砂) | 3.7 | 3.3 | 3.5 |
輸 入 |
砂糖 | 198 | 246 | 416 |
異性化糖 | 64 | 54 | 58 |
%(異/砂) | 24.5 | 18.1 | 12.2 |
輸 出 |
砂糖 | 3,072 | 2,878 | 2,776 |
異性化糖 | 0 | 0 | 0 |
%(異/砂) | 0 | 0 | 0 |
グラフ:フランス1 砂糖と異性化糖の平均需給バランス
(1994/95-1996/97)
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5.砂糖産業の現状
(1) ビートの加工産業
ビート糖は、200年近く前に、フランスで初めて生産され、1811年には5ヶ所の砂糖工場が建設された。国内産業が保護されたことにより、ビート産業は急速に成長し、1828年までに、フランスには585ヶ所の砂糖工場が存在した。しかし、その後フランスの植民地の甘しゃ糖生産者の要請により、甘しゃ糖及びビート糖がより公正に競争することができるように法律は改正された。
1960年代半ばまでには、フランスでは68ヶ所のビート糖工場が操業していた。それ以来、工場の数は徐々に減少し、現在、42工場となっている。
表:フランス6は、1996/97年の各企業別の生産に関する技術的な実績のデータとともに、フランスのビート業界の現在の工場分布を示してる。実際の企業の実績データを用いているが、そのようなデータが入手できない場合には、根中糖分及びTB:TS比率に関しては、業界全体の平均値を用いている。
エリダニア・ベガン・セイ及びジェネラル・スュクリエールがフランスの市場を支配していることは、表:フランス6によって明らかである。この2つの企業で、加工産業の約50%を占めている。中でも、エリダニア・ベガン・セイの生産量は、国内のビート糖の生産量の約34%を占めている。
現在、フランスの42ヶ所の工場は、18社によって所有されている。これらの工場のうちの7工場は、生産者の協同組合によって経営されており、残りの35工場は民間によって経営されている。協同組合部門は、ビート糖の総生産量の約12%を占めている。
表:フランス6 ビート糖企業:現在の工場分布及び1996/97年の生産データ
会 社 |
Eridania Beghin-Say |
Generale Sucriere |
Groupe Vermandoise |
Union SDA |
Sucreries Distilleries des Hauts de France |
Lesaffre Freres |
工場数 | 10工場 | 7工場 | 6工場 | 5工場 | 2工場 | 1工場 |
工場所在地 |
ABBeville, Boiry, Chalons-en-Champagne, Chevrieres, Connantre, Escaudoeuvres, Pont d'Ardres, Sillery, Vauciennes, Villenoy |
Cagny, Etrepagny, Guigncourt, Ham, Marle-sur-Serre, Saint Germainmont, Roye |
Beauchamps, Bihucourt, Fontaine-le-Dun, Pithiviers-le-Vieil, Toury, Villers-Faucon |
Artenay, Bucy-le-Long, Maizy Origny-Sainte- Benoite, Vic-sur-Aisne (注1) |
Lillers, Montreuil-sur-Mer |
Nangis |
製糖期間 | 9月〜12月 | 9月〜12月 | 9月〜12月 | 9月〜12月 | 9月〜12月 | 9月〜12月 |
稼働日(日/年) | 72 | 77 | 71 | 71 | 78 | 64 |
生産量(千トン) | 1,420 | 880 | 450 | 480 | 160 | 50 |
原料収穫量/産糖量 (トン) | 6.5 | 6.7 | 6.6 | 6.6 | 6.3 | 5.7 |
平均根中糖分(%) | 18.6 | 17.9 | 18.3 | 18.3 | 18.6 | 18.9 |
注:1.1998年に閉鎖する予定である。
会 社 |
Societe des Sucreries du Marquenterre |
Ouvre Fils SA |
Sucrerie-Distillerie Arcis-sur-AuBe |
Sucrerie Co-op de Bazancourt |
Boinet et Cie |
Sucrerie de Bourdon |
工場数 | 1工場 | 1工場 | 1工場 | 1工場 | 1工場 | 1工場 |
工場所在地 |
Marconelle |
Souppes-sur-Loing |
Arcis-sur-AuBe |
Bazancourt |
Epenancourt |
Bourdon |
製糖期間 | 9月〜12月 | 9月〜12月 | 9月〜12月 | 9月〜12月 | 9月〜12月 | 9月〜12月 |
稼働日(日/年) | 71 | 71 | 71 | 76 | 71 | 71 |
生産量(千トン) | 50 | 70 | 140 | 140 | 30 | 30 |
原料収穫量/産糖量 (トン) | 6.6 | 6.6 | 6.6 | 7.7 | 6.6 | 6.6 |
平均根中糖分(%) | 18.3 | 18.3 | 18.8 | 18.3 | 18.3 | 18.3 |
会 社 |
Sucreries de Chalon-sur-Saone |
Sucrerie Agricole de Coleville |
Cooperative Agricole de CorBeilles-en-Gatinais | Sucrerie-Raffinerie d'Erstein |
FaBriques de Sucre |
工場数 | 1工場 | 1工場 | 1工場 | 1工場 | 1工場 |
工場所在地 |
Aiserey |
Colleville |
CorBeilles-en-Gatinais |
Erstein |
Bray-sur-Seine |
製糖期間 | 9月〜12月 | 9月〜12月 | 9月〜12月 | 9月〜12月 | 9月〜12月 |
稼働日(日/年) | 71 | 71 | 63 | 76 | 66 |
生産量(千トン) | 50 | 50 | 80 | 60 | 50 |
原料収穫量/産糖量 (トン) | 6.6 | 6.6 | 6.7 | 6.9 | 10.4 |
平均根中糖分(%) | 18.3 | 17.8 | 17.5 | 17.2 | 18.3 |
(2) 甘しゃ糖産業
表:フランス7は、レユニオン諸島及びグアドループ諸島の甘しゃ糖産業の構造を示している。レユニオン諸島においては、最近、1996/97年にスュクリエール・ドゥ・ラ・レユニオンによって経営されているボーフォン工場を閉鎖して、3工場から2工場に縮小した。この工場で以前に加工されていたさとうきびの全ては、同じ島に所在する同社のル・ゴル工場に移された。砂糖はまた、スュクリエール・ドゥ・ブルボンが所有するボワ・ルージュ工場においても生産されている。
グアドループ諸島にも2工場があるが、ル・ムールに所在する大きいほうの工場は、ガルデルSAによって所有されており、1日4,200トンの原料処理能力を持っている。スュクルリー・エ・リュムリー・マリー・ギャラントによって所有されるもう1つの甘しゃ糖工場は、遥かに小さく、1日僅か1,800トンの原料処理能力しか持っていない。
表:フランス7は、同一のシーズンにおけるグアドループ諸島において圧搾されたさとうきびの平均的な品質(1996/97年には、平均9.6%の糖度)、及びレユニオン諸島における平均14.6%の糖度を示している。表:フランス7の糖度に関するデータは、両諸島の原料処理量/産糖量(TC:TS)の比率に比例する。これらの数字を見ると、レユニオン諸島の方が技術的に進んでいることがわかる。
DOMにおいて生産された砂糖は、現地で消費されるか、若しくは精製糖向けにフランスに積み出される。フランス以外に積み出される砂糖は殆ど無い。
表:フランス7 甘しゃ糖企業:現在の工場分布及び1996/97年の生産データ
会 社 |
Industrielle Sucriere deBourBon |
Sucrerie de la Reunion |
Gardel SA |
Sucrerie et Rhumerie Marie-Galante SA |
工場数 | 1工場 | 1工場 | 1工場 | 1工場 |
工場所在地 |
Reunion |
Reunion |
Guadeloupe |
Guadeloupe |
製糖期間 | 6月〜10月 | 6月〜10月 | 11月〜2月 | 11月〜2月 |
稼働日(日/年) | 128 | 128 | 90 | 90 |
生産量(千トン) (精糖ベース) | 53,183 | 146,798 | 39,900 | 17,100 |
原料処理量/産糖量 (トン) | 8.5 | 8.5 | 9.7 | 9.7 |
平均糖度(%) | 14.6 | 14.6 | 9.6 | 9.6 |
出典:砂糖年報、1997/98年。
(3) 粗糖の精製糖産業
表:フランス8は、フランスの精製糖部門に関する工場数及び生産量のデータを示している。この部門は、エリダニア・ベガン・セイのナント工場及びジェネラル・スュクリエールのマルセイユ工場という2つの精製糖工場だけである。マルセイユ工場は、過去数年間は、稼働率が低かったが、新しい原糖倉庫の建設によって将来は生産量が増加するものと思われる。
表:フランス8 精製糖企業:現在の工場分布及び1996/97年の生産データ
会 社 |
Eridania Beghin-Say |
Generale Sucriere |
工場数 | 1工場 | 1工場 |
工場所在地 |
Nantes |
Marseilles |
製糖期間 | 1年間 | 1年間 |
稼働日(日/年) | 262日 | 190日 |
生産量(千トン) (精糖ベース) | 134 | 145 |
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砂糖の流通
砂糖の国内販売は、複数の大規模な販売団体によって実施されている。ベガン・セイ・グループは自社の砂糖を販売しているが、ジェネラル・スュクリエールは、スュクル・ユニオンと提携して、国内市場と輸出市場に均等に分けられる総量120万トン以上の砂糖を販売する砂糖販売会社であるユーロスュクルSNCを経営している。
生産者から小売業者への直接販売は、(総消費量の約25%)年間約50万トンを占めている。生産者から卸売団体及び企業への販売は、年間約20万トンを占めている。これらの一部は、小売市場に直接販売され、残りは実需者向けに流通される。
生産者から実需者への砂糖の直接販売は、(総消費量の約62%)年間約120万トンを占めている。最も大きなエンド・ユーザーは、(ソフト・ドリンク及びフルーツ・ドリンクなどの)飲料部門(25万トン)、チョコレート及び菓子部門(23万トン)、乳製品部門(14万トン)及び製パン部門(12万トン)である。
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砂糖産業の現在の問題
おそらく現在のビート産業への大きな唯一の脅威は、21世紀の初頭に行われるEUの砂糖制度の大きな変化の可能性である。世界貿易交渉の新しいラウンドは、2000/01年に開始される予定であり、EUの砂糖制度もまたその時に見直される予定である。こうした状況から生じる圧力の組み合わせが現在までEUの砂糖産業に与えられていた支持及び保護の大きな削減をもたらすのではないかという観測も出ている。
フランスのビート糖産業は、ビート及び砂糖の価格を大きく低下させる可能性を持つEUの制度の変化に対しては、EUの他の国よりも有利な状況にある。栽培部門は、元来極めて有能であり、全てのEUのビート糖産業の中で最高の単収を誇っている。しかし、ビート及び砂糖の価格の低下から必然的にもたらされる圧力は、過去20年にわたって起こっている産業の整理統合のプロセスを促進することになると思われる。
フランスのビート産業の整理統合の進展は、1997年の3つの工場の閉鎖(エリダニア・ベガン・セイによって所有されるアティニーの工場、ジェネラル・スュクリエールによって所有されるブレスルの工場、及び農業砂糖蒸留連合の所有するベルヌイユの工場)によって典型的に示されている。短期的には、1日の処理能力の低下によって製糖期間が延長されるが、長期的には、多数の小規模な工場が徐々により少数の大規模な工場に集約される傾向が継続するものと思われる。
ビート産業の整理統合及びそれに伴う製糖期間の延長は、栽培者と製糖業者の間にいくぶんの対立を作り出している。ビートが農地に保管される期間が長くなることは、生産者が工場に引き渡す前にビートの品質の劣化の危険があることを意味している。製糖期間の延長に伴う問題点は、現在ビート産業内で広く議論されている問題である。
クリーン燃料の開発において、フランスはEU内で最も進歩した国家である。フランス・ビート糖協会は、大気汚染を緩和するために、ガソリンに混合して利用されるビート及び小麦から生産されるエタノール及びエタノール派生物質を促進する議会活動に積極的に参加している。フランスにおけるETBT(燃料用の酸化物として利用することができるエタノール派生物質であるエチル三価ブチルエーテル)の生産のための加工能力は増大しており、ガソリン会社のトータル・アンド・エルフ・アキテーヌは近年新たな能力を追加している。
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