今月の市場は、3月前半は、最大の生産国であるブラジルから豊富に砂糖が供給され続けていることに加え、最大の輸入国であるロシアの買いが依然として不充分であることから、現物価格は6¢台前半、期近5月限価格は5¢台後半と、前月に続き軟調に推移した。
さらに、ザーニコフ社が3月18日に公表した最新の報告書の中で、「予想外のタイ産の増大と大幅なブラジルの生産増により、1998/99年度の世界の砂糖生産高予想が上方修正される公算が大きく、市場関係者が供給過剰を見込んでいることが市場を悪化させている。」と指摘したことから、19日には、現物価格は5.87¢と6¢を割り込み12年ぶりの安値水準まで下落した。
その後も、(1)ロシア政府筋は、輸入量について、250万トンから400万トンに上方修正した、(2)バングラデシュが白糖を買い付けた、(3)フィリピンが最大30万トンの買い付けに動く可能性がある、等が支援材料になったものの、生産者筋と思惑売りが非常に多く、買いが充分に入らなかったため、相場は上昇することなく、現物価格は5¢台後半から6¢台前半で推移した。
市場の動向に関して、市場関係者筋は、「1月半ばのブラジル通貨レアルの変動相場制移行(事実上の通貨切り下げ)によってブラジルからの輸出が拡大し、既に供給過剰となっていた市場を一層圧迫し、相場は下落歩調をたどっている。1998/99年度の世界の供給過剰規模について、国際砂糖機関(ISO)は162万トンとしているが、輸出業界筋の多くは359万トンから513万トンと見積もっている。また、ロシア、一部中東及びアジア諸国は輸入量を拡大させているものの、ブラジルからの大規模な輸出を吸収する能力はない。さらに、タイの1998/99年度のさとうきび圧搾量がこれまでの予想を大幅に上回るとの報も圧迫材料となっている。」と指摘した。
このような状況の中で、現物価格は、最高値が3月1日の6.59¢、最安値が3月24日の5.83¢、月平均が前月に比べて0.89¢安の6.16¢と前月に引き続いて大幅に下落した。また、期近5月限価格は、最高値が3月10日の6.04¢、最安値が3月24日の5.47¢、月平均が前月に比べて0.98¢安の5.76¢と現物価格同様大幅に下落した。
今後の市場動向に大きな影響を持つブラジルの動向について、業界筋は、「ブラジルは5月から新年度に入るが、現在のさとうきび収穫量は約3億1千万トンと見込まれている。これをアルコール製造と砂糖生産にどう振り分けるかだが、通常はアルコール6に対して砂糖が4であるところ、今シーズンはこれが逆転したため、砂糖生産は1,800万トンを超える新記録となった。新年度は、4月に生産計画が発表される見通しであるが、アルコールの製造を減産したことにより在庫は減少しているはずで、5対5、もしくは若干アルコールの製造が多くなるかもしれない。そうなると、同国からの輸出量は減少し、相場が上昇する可能性がある。」としている。
