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「菓子と砂糖のおいしい関係」(2)

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最終更新日:2010年3月6日

砂糖類ホームページ/国内情報

今月の視点
[2004年5月]

菓子愛好家(菓子ライター&コーディネーター)
村山 なおこ


菓子に使われる砂糖
味覚と甘味
なぜ、甘いものに塩?甘味の対比効果
砂糖の主な特性


【菓子に使われる砂糖】

メープルシュガー、椰子糖
上/メープルシュガー 下/椰子糖
 料理人にとってそれは塩であるように、パティシエ(菓子職人)にとって砂糖はなくてはならない味の要。ひと口に甘味料と言っても様々な種類があり、今回は菓子作りに欠かせない砂糖の基礎知識から触れてみよう。まず、砂糖はフランス語では「シュクル」英語では「シュガー」と呼ぶ。果物からとれる果糖(フラクトース)やデンプンからとれるトレハロースなど様々な糖類があるが、砂糖の主成分は蔗糖(シュクロース)。主な原料は、サトウキビ(甘しゃ)が約6割、甜菜(砂糖大根、ビート)が約4割占める他、一部、椰子や楓(メープルシュガー)からも採取される。メープルシュガーはカナダや北アメリカの楓の原生林の樹液から作るため生産量も少なく高価であったが、ここ数年来、菓子店でもメープルシュガーやシロップを使ったプリンや焼き菓子が売られ、手軽にその風味を味わえるようになってきた。「メープルの独特な強い甘みが、むしろ菓子の個性に」というパティシエの声も聞かれるほどだ。
 製造工程においては、分蜜糖(糖汁を煮詰めて結晶と糖蜜を振り分け、結晶だけを取り出したもの)と含蜜糖(糖汁を煮詰め、糖蜜分を含んだまま固めたもの)に分けられる。前者は、一般的に多く使われるグラニュー糖、上白糖などがあり、後者はサトウキビから採取する黒砂糖や先に触れた楓の樹液を煮詰めて結晶化したメープルシュガーなどがある。では実際に菓子によく使われている砂糖類について触れてみたいと思う。

グラニュー糖
 サラサラした細かい結晶で、純度が高くクセのない淡白な甘みをもつ。吸湿性も低いため飴細工など菓子作り全般に最も多用される。結晶状を生かし、リーフパイやクッキーにまぶして焼いたり、揚げたてのドーナッツにまぶす使い方もある。さらに冷たい水やバターなどに混ぜたときに溶けやすいタイプとして、約1/6の微細粒グラニュー糖が菓子に多用されている。
ベルギーワッフル
シュークル・ペルレを使ったベルギーワッフル
 ひと頃、97年頃に東京で流行り始めた(大阪では86年〜)、路上で焼きたてを売る甘い香りのベルギーワッフル(リエージュ風)をご記憶だろうか。このワッフルに使われている砂糖はグラニュー糖を原料とするシュークル・ペルレ(主にベルギー産)と呼ばれる丸型、大粒のもので、パールシュガーとも呼ばれている。ワッフルの生地に混ぜて焼くと一部は溶けてカラメル状になり甘い香りを放つが、砂糖の塊が溶けきれずに残り、その甘さとカリッとした歯触りが何ともいえない旨味となる。今思えば、行列してでも食べたい!と願うベルギーワッフルは、立ち食いで熱々を頬ばる楽しさと独特の砂糖使いに魅力があったのだ。またこの溶けにくい性質を生かし、フランス菓子のシュー菓子「シューケット」にまぶして焼き、甘みだけでなく飾りとしても使われている。
 この他、グラニュー糖を原料にした国産品で、あられ糖があるが、シュークル・ペルレとは製法が異なる。

上白糖
 真っ白で光沢がありキメの細かい結晶をもつ。転化糖が添加されているためしっとりし、グラニュー糖よりも蔗糖の純度は低いがやや甘味とコクを感じる。ヨーロッパではほとんど見られないタイプで、日本で使われる砂糖の半分以上を占める。吸湿性が高いので湿気に弱い飴細工やキャンディーなど飴菓子などには不向きである。

白双糖
 蔗糖の純度が最も高く、グラニュー糖よりも大きな結晶体をもつ。クッキーやシュー生地のトッピングに用いたり、吸湿性が低いのでドラジェやキャンディーなど砂糖菓子(コンフィズリー)にも用いる。

粉砂糖
 グラニュー糖を粉砕し微粉末状にしたもので、吸湿を防ぐために市販品は1〜2%のコーンスターチが添加されているが、無添加のものは純粉砂糖として売られている。粒子が細かく溶けやすいので、生クリームを泡立てる時や水で溶いてアイシングにしたり、卵白と練ってグラス・ロワイヤル(シュガーペースト)としてケーキをカバーしたりデコレーションに使われる。また、シュークリームなど菓子の表面に振りかけて飾りにもするが、時間が経つと濡れた感じ(泣いてくる)になるのでそれを解消したブドウ糖や乳化剤を添加したタイプもプロの菓子作りでは用いられる。

黒砂糖
 サトウキビの絞り汁を煮詰めたもので、黒褐色で精製されていないため特有の風味と甘みをもつ。蔗糖純度は低いがミネラルは豊富。アクも強くクセがあるが、淡白な生地と合わせたり、黒みつソースとして味のポイントにする使い方もある。

カッソナード
クレーム・ブリュレ
カッソナードを焦がしたクレーム・ブリュレ
 サトウキビから作る含蜜糖の一種で、精製されていないため独特の強い香りとラム酒にも似た風味をもつ。フランスの高級レストランのデザートとして広まり、日本でもすっかり定着したデザート菓子「クレーム・ブリュレ」の味の決め手は実はこの砂糖にある。いわば、クレーム・ブリュレは生クリーム入りの濃厚なカスタード風プリン。その上にカッソナードをたっぷりまぶして、表面をバーナーでこんがりと焦がし(カラメリゼ)、パリッと香ばしい甘味に仕上げたものだ。数年前に公開されたフランス映画のワンシーンで、少女がクレーム・ブリュレの表面の砂糖をスプーンでパリンと割るおいしそうなシーンも記憶に新しい。フランスではこの他に、ヴェルジョワーズといわれる甜菜(ビート)を原料にした褐色の砂糖が使われる。北フランスは甜菜(ビート)の産地でもあり、特にヴェルジョワーズを使う砂糖のタルト(タルト・オ・シュクル)は有名である。尚、昨今はこのヴェルジョワーズが日本でも入手可能となり菓子にコクを与えるなど新たな素材として注目が高まりつつあり、プリンやスポンジ生地にコクを与える使い方も見かける。

和三盆
 徳島県(阿波)と香川県(讃岐)の特産となっている。糖汁を煮詰めた粗糖の塊(白下糖)に水を加え練りながら、糖蜜を圧搾、除去を繰り返し天日で乾燥。結晶が細かく、上品な甘味や香りとともに口の中でサッと溶ける特徴がある。白下糖から、わずかしか取れず、和菓子の材料として珍重され、型に詰めて打ち物など高級干菓子に多用される。また夏場には水羊羹などにも使われる。そう、以前取材中に、こんな光景を目にしたことがある。手焼きせんべいの店では、うなぎ屋さん秘伝のタレのように、付け焼きのしょうゆだれに拘りをもつ店があり、私が訪れた高級せんべい店では醤油との相性を考え、白下糖を隠し味に加え、ほんのりと甘みを醸し出していたのである。

転化糖
 砂糖の成分は主に蔗糖(シュクロース)のほか、水分、ミネラル、転化糖だが、この転化糖は単独でも菓子に用いられることがある。これは、砂糖に酸や酵素を加え加水分解させてできた果糖とブドウ糖の混合物。甘味が強く結晶化しにくい作用があり、アイスクリームやジェラートなどに用いると滑らかな食感が得られる。このため、砂糖の一部を転化糖に置き換えて氷果に使う菓子店も多い。また、保湿効果を生かし、トリュフなどひと粒チョコレートに詰めるガナッシュクリームに用いたりスポンジケーキに入れて柔らかな品質を保つことも。他にアミノ酸と反応して「焼き色をつける」という性質もあり、焼き菓子などにも使われる。尚、天然の転化糖としては、はちみつが知られる。

砂糖以外の甘味
 デンプンを原料にした糖質のトレハロースは、ここ10年の間に菓子作りにも浸透している。小麦粉などデンプンの老化や油脂の変敗を防ぐため砂糖の一部を置き換え、バターやアーモンドがたっぷり入った焼き菓子に使われる。他、メレンゲの気泡の安定、甘味度が砂糖に比べて約45%とあって低甘味化にも利用されている。尚、褐変を起こさないので色をつけたくない菓子などにも向いている。
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【味覚と甘味】

 さて砂糖の特性に入る前に、日常に身近な味覚の話しから入りたいと思う。食べ物の味は基本的に甘味、酸味、苦味、塩味のほか旨みを加えて五味とされている。とりわけ甘味は、先にも触れたが、料理の塩加減と同様に菓子作りにおいて重要な素材。この甘味と塩味は生理的に欲求される味とも言われている。空腹感があるときに甘味を欲する!そんな経験をお持ちの方もいるだろう。空腹は血中の糖濃度の減少、胃の収縮などによって起こり、吸収の早い甘味を食べることで空腹感が満たされるからだ。そして、甘味は温度にも敏感であり、体温付近で甘味を最も強く感じられる。ことに、スイカやナシなどの果物に含まれる果糖は高温になると甘味が低下するように感じる。砂糖(蔗糖)の場合は比較的安定しているが熱々のおしるこを味見してちょうど良いと思っても、冷めたら甘すぎる・ ・・。というケースなど温度によって味覚のバランスは崩れることがあるのである。
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【なぜ、甘いものに塩?甘味の対比効果】

 同じ種類の2種類以上の呈味を混ぜるとより強く味を感じることがある。例えば、昆布だしをそのまま用いるよりも鰹節だしを加えることでグンと味に深みが出ることがあるように、甘味の場合も蔗糖と合成甘味料を混ぜると甘味が強く感じるなど相乗効果があるといわれている。一方、おしるこやスイカなど甘いものに塩を加えて食べることがある。子供の頃「甘くなるから塩を入れて」と母の声に耳を傾けて食べてみると本当に甘味が増して不思議に思えたものだ。これは、わずかに塩を加えることで主たる甘味を引き立て、味がひきしまってくる対比効果を利用した智恵なのである。
クイニー・アマン
焦げた砂糖が香ばしいクイニー・アマン
 日本のフランス菓子店の場合も、こうした対比効果を生かしたテイストが見られる。ひと粒チョコレートのボンボン・ショコラに塩をアクセントに効かせたり、飴菓子のキャラメルやバタークリームに有塩バターを使ってコクを出し、これを個性にしている店もある。ちょうど98年頃に日本でブームとなったフランスのブルターニュ地方菓子の「クイニー・アマン」も甘味と塩味のハーモニーが何とも印象深い菓子だ。海に囲まれたブルターニュは、海水から作る塩を入れた有塩バターが特産であり、ゲランド産の塩自体も知られている。この地域では菓子にはほとんど有塩バターが使われ、このクイニー・アマンもその一つだ。日本では有塩バターを生地に折り込む、あるいはパン生地に塩を添加する手法が見られ、仕上げに砂糖をたっぷりとまぶして焼くため、周りは砂糖が焦げてカリッと甘味がじーんわり。噛むほどにバターの香りと塩気がほんのりと広がり豊かな風味に包まれる。そして、甘さにキレもある。そう、わずかな塩は甘さに深みを与え、おいしさに一役かっているのだ。
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【砂糖の主な特性】

 菓子作りにおいて砂糖は実に様々な特性が生かされている。例を挙げながら一部をご紹介しよう。

溶解性、結晶性
 水に溶け易く、温度上昇にともない早くかつ多く溶ける性質がある。その溶解度は0℃で約64%、100℃では約83%と高濃度になる。しかし、時間の経過や冷却するとともに溶かしきれなくなった砂糖が結晶となって沈殿する。この再結晶することを菓子作りにおいては「シャリ」という。
 ウイーン銘菓のザッハトルテは濃厚なチョコレート生地にチョコレートの糖衣を被った菓子で、これも結晶化を利用したものである。19世紀初頭のウイーン会議の際に供された菓子として知られ、これを考案した料理人、フランツ・ザッハの名前に因んで名づけられた。味のポイントとなる糖衣は、こんな風に作られる。砂糖(チョコレートの約1.5倍前後)と水を沸騰させてチョコレートを加えて108〜110℃にさらに煮詰め、火からおろす。一部を大理石に広げるようにのばして冷やすことで急激に結晶化させ、薄い膜ができ、粘りが出てきたら鍋に戻し全体の温度を下げる。周りに塗れるくらいの濃度に結晶化を進めると、艶やかなザッハグラズイールが出来上がり、生地にかけて仕上げるのだ。一見、チョコレートコーティングに見える菓子だが、ひと口含むと、砂糖が結晶化した証しにシャリッと独特の歯触りと甘味が広がり、菓子の特徴ともなっている。濃い目のコーヒーとともに味わえば、ふくよかな旨味が醍醐味となる。
 また、濃厚な砂糖溶液を煮詰めて途中火からおろし、練りながら白く結晶化させて作るものに「フォンダン」がある。これはシロップなどでのばし、エクレアやミルフィーユの表面を被うコーティングなどでもおなじみだ。
 他に、溶ける性質を生かして砂糖と水で作る「シロップ」が菓子に用いられる。みつ豆や杏仁豆腐のシロップ(豆腐が浮くのは、砂糖の多いシロップの比重を利用)のほか、あら熱をとり、洋酒などを加え調整したアンビベシロップがある。スポンジケーキなど生地の断面にシロップをハケでしみ込ませて使うものだ。ショートケーキを食べたときに、スポンジケーキがしっとりと感じるのは、乾燥を防ぎ、保湿、風味、甘みを与えるためにアンビベシロップが打ってある場合が多い。因みに「アンビベ」とは仏語で浸すという意味である。
ミルフィーユ
白いフォンダンが美しいミルフィーユ
エクレア
チョコ風味のフォンダン掛けしたエクレア
エクレアのおいしさの秘密
 スレンダーなシュー皮の表面に、艶やかなフォンダンがきらめくエクレア。日本では、チョコレートを表面に塗った細長いシュー菓子といったイメージが持たれているが、本来は、フォンダンの甘さがアクセントになった菓子なのである。エクレアは英語読みで、仏語では「エクレール」と呼び、「稲妻」や「雷光」を意味している。フランスの菓子店の多くが、溶かしたチョコレートやコーヒーエキスなどを加えたチョコやモカ風味のフォンダンを掛けてあり、この艶が稲妻のごとくピカッと見えるから、あるいは焼いたシュー皮に亀裂が入った様が稲妻に見える?などユーモアな諸説のいわれがある。
 ところで、日本で人気のシュークリーム(仏語は、シュー・ア・ラ・クレーム)は、意外にもフランスではあまり見かけず、むしろエクレアの方がずっとポピュラーなのだ。何といってもカリッと焼いたシュー皮の香ばしさと、上掛けのフォンダンのコク、なめらかなクリームのハーモニーがおいしさなのだ。そして、上掛けと同じ風味のクリームが中に入っているのが一般的である。ちょうど1年前になるだろうか。エクレアの取材をしていた時に、自家製フォンダンを作るパティシエのこんな言葉にハッとした。「糖液を煮詰め、火からはずして再結晶化させて白濁化したフォンダンは、丁寧に練り上げることで口の中で蕩けるような口溶けになるんです。唇にあたったときの温かみのある甘さが何ともいえない旨さです」と、心のこもったコメントはとてもひたむきな職人魂を感じさせてくれた。
 もともと、フォンダンとは、料理のチーズ・フォンデューでもお馴染みの仏語で、溶ける意味の「フォンドゥル」からきており、砂糖で作ったフォンダンの口溶けもまさしく蕩けるテクスチャーということなのである。菓子店で、ふと、フォンダンを上掛けしたエクレアを見つけたなら、是非ともそのコクのある甘さをじっくりと堪能していただきたい。

酸化防止・防腐性
 砂糖は煮詰めて濃度が高くなると水分が減り、酵母や細菌の繁殖を抑制する。砂糖の濃厚な液は酸素が溶けにくいため酸化を防止でき、ジャムや砂糖漬けはこれを利用したものだ。

発酵性
 パンを作る際、イーストの発酵を助けるために糖が必要となる。発酵中に糖からアルコールと炭酸ガスが生成されパンがふっくらと膨らむのに役立っている。その為、食事用の甘くないパンであっても配合には少量(約5%まで)の砂糖が入る。

菓子の焼き色と砂糖
 菓子を焼いたときにできるおいしそうな焦げ色は褐色の物質「メラノイジン」である。これは菓子の材料に含まれる2つの成分から生じている。つまり、卵や牛乳などアミノ酸、タンパク質を含むもの(アミノ化合物)とブドウ糖、果糖など(還元基をもつ物質でカルボニル化合物)である。これら2つの混合物を高温で加熱すると「褐色のメラノイジン」が形成される。これをメイラード反応という。また糖液を160℃以上に煮詰めていくと焦げてカラメルが作られる。菓子の色づきはこうした「カラメル」形成の反応によるものも影響している。
 砂糖の主成分である蔗糖は還元基を持たないが、少量含まれる転化糖(ブドウ糖と果糖の混合物)がその影響を受け色づく。

甘味性
 砂糖の甘みで程よいと言われるのは10%前後。20%になるとむしろ苦味を感じることもある。例えば、ケーキのデコレーションに使う泡立て用の生クリームに加える砂糖の基準も10%前後である。

メレンゲの安定性
 砂糖の溶解性はメレンゲ作りにおいても深い関係がある。メレンゲは卵白に含まれるタンパク質の分子が攪拌することで変性し、泡膜が硬化してできたもので泡はそのままでは水様化してしまう。菓子作りにおいて、メレンゲはキメの細かい安定した気泡が求められる。泡立ちから言えば、砂糖を入れずに常温で泡立てたものは表面張力も小さく、最も早く泡立つ。しかし、大きくて粗い泡となり壊れて離水しやすく、生地に混ぜて焼き上げたときに大きな穴が空いたり、萎んでしまうケースもあるのだ。その点、砂糖を加えて泡立てると卵白中の水分によって砂糖が溶け、表面張力が大きくなる。泡立ちにくいが気泡のフィルターがしっかりと安定するのだ。尚、10℃前後の低温で泡立てる方がよりコシの強いものとなる。砂糖の量が多いほどメレンゲが安定しやすいが、砂糖を加えるタイミングも重要となる。最初から分量全部の砂糖を加えてしまうと泡立ちが遅いだけでなくメレンゲが重くてダレやすいものになる。一方、泡立ちすぎてから砂糖を加えると気泡が粗くパサつくメレンゲになる為、プロの菓子職人は卵白を軽く泡立ててから少しずつ数回に分けて砂糖を加えるケースが多い。但し、菓子によっては、あらかじめ最初から砂糖も卵白も一緒に混ぜて湯煎で泡立てるホットメレンゲを用いる場合もある。また卵白のみを泡立て、その中に熱い糖液を加えて作るイタリアンメレンゲがあり、共に砂糖がよく溶けているのでツヤのあるキメの細かい泡となる。

 この他、メレンゲ作りに砂糖と共に少量のレモン汁や酒石酸を加えることがある。これは酸を加えることで卵白中のたんぱく質のphに近くなり、粘度が下がって泡立ちを安定させるからとも言われている。

砂糖の加熱による変化と菓子への利用
 砂糖は水を加えて加熱すると温度上昇にともない状態が変化する独特の性質がある。シロップからあめ状に、カラメルへ。そして最後には炭化して煙に・・・。では菓子にはどんな温度で利用されるのか次頁をご覧いただきたい。

 この他にも砂糖は、吸湿性、浸透性、ゼリー強化、デンプンの老化防止などの性質があり菓子作りに大いに役立っている。つまり菓子と砂糖は、密接な関係にあるのだ。今後、菓子店を訪れたり、菓子を食べる時には、こうした知識を思い出して尚一層のことおいしく食べていただきたい。甘さを越えたおいしさ。砂糖への魅力をもっと身近に感じようではないか。
飴細工
砂糖の芸術ともいえる飴細工
ウエディングケーキ
飴掛けしたシューのウエディングケーキ

糖液の煮詰め温度と適する菓子
糖液の煮詰め温度と適する菓子
※1 116〜117℃をプチ・ブーレと呼びイタリアンメレンゲを作る際のシロップの温度の目安とされる。熱い糖液を加えることで比重も重くなり、安定したメレンゲとなり、菓子の日持ちもよくなる。
※2 飴細工には、主に引き飴細工の「シュクル・ティレ」、流し飴細工の「シュクル・クーレ」、吹き飴細工の「シュクル・スフレ」の3種類がある。
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2004年5月 
「菓子と砂糖のおいしい関係」(2)
 菓子愛好家(菓子ライター&コーディネーター) 村山なおこ
てん菜直播栽培の改善技術
 北海道立十勝農業試験場 生産研究部 栽培システム科研究主査 稲野 一郎


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