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海外市場の動き[1999年6月]

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最終更新日:2010年3月6日

砂糖類ホームページ/海外情報


砂糖類をめぐる海外の動き
[1999年6月]

[NY 砂糖市場の動き]  [世界の砂糖需給予想]


【NY 砂糖市場の動き】

 4月の市場は、世界的に相場が下落しているにもかかわらず、ブラジルでは金融危機に伴う通貨レアルの低下によって、少しでも外貨を獲得したい業者が輸出圧力をかけ続けている。一方、フィリピンが砂糖の買い付け量を当初予定の30万トンから35万トンに引き上げたことに加えて、シリア及びイランの買い付けがあったが、これらの国々の購入量は砂糖相場の下落を食い止めるのに充分な量ではなかったことから、現物価格及び期近5月限価格とも前月から引き続き下落基調をたどり、軟調に推移した。
 特に、月末においては、価格低下による大幅な需要の増大や供給抑制の動きが出ていないことから、生産者筋と思惑筋の大量の売りによって、現物価格及び期近5月限価格とも13年振りの安値水準となり、現物価格は4月26日に5¢を割り込み4.98¢を記録した。
 下落基調の要因として、市場関係者筋によると、「1つは、ブラジルでアルコールを乗用車の燃料として使用する動きが徐々に勢いを失っているため、アルコール需要が低下し砂糖生産を促していること、2つは、供給過剰と経済危機に見舞われているロシアなどの大消費国の引き合いが低調であること、つまり、国際的な供給過剰と需要の少なさという需給関係の悪さを反映しているためである。」と分析している。
 このような状況の中で、現物価格は、最高値が5日の6.01¢、最安値が27日の4.79¢、月平均が前月に比べて0.72¢安の5.44¢と前月に引き続いて大幅に下落した。因みに、昨年4月の現物価格の平均値は10.27¢であったことから、1年間で4.83¢暴落したことになる。また、期近5月限価格は、最高値が6日の5.63¢、最安値が28日の4.58¢、月平均が前月に比べて0.61¢安の5.15¢と現物価格同様大幅に下落した。
 今後の市場動向に関して、市場関係者によると、「現在のところ、相場低迷による需要増大や供給抑制の動きは出ておらず、砂糖相場の底はまだ見えていない。過去の歴史に基づけば砂糖相場は続落し、今年の夏には2.5¢台を記録し、15年振りの安値をつける可能性がある。」と予測している。
 その理由として、「ブラジルは砂糖の生産高が過去最高となっているうえ、通貨レアルの下落から農家が外貨獲得のため、できる限り多くの砂糖を輸出する動きが顕著となっている。また、ロシアは最近砂糖を買い付けているが相場浮揚に充分な量でなく、さらに、粗糖の輸入関税が現行の1%が、7月から5%、8月から45%にそれぞれ引き上げられる予定のため、買い付け量は鈍化する可能性が高く、いずれにしても、世界最大の砂糖生産国であるブラジルと最大の輸入国であるロシアがともに金融危機の悪影響を受けていることが大きな下落要因である。」と指摘している。
 さらに、トレーダー筋によると、今後の市場動向における弱材料として、(1)世界の砂糖需給は、5年連続余剰→各統計機関等が発表した98/99年度の世界の砂糖需給を平均すると、生産が対前年比1.6%増の1億2,914万トン、消費が対前年比1.4%増の1億2,513万トンで、差し引き400万トンの余剰が見込まれる、(2)タイの生産が予想外に好調→タイは前年度の干ばつから立ち直り、今シーズンの生産は当初の450〜460万トンから上方修正され、550〜560万トンに達する確立が高くなり、南半球の新糖が出回る前に全量売却を予定している、(3)パキスタンが輸出拡大を検討→パキスタンは2年連続の増産により在庫が積み上がったことから、輸出枠を50万トンから70万トンに拡大することを検討中である、(4)キューバの生産が回復する見込み→キューバの生産高は、ソ連邦崩壊前に比べて半分に落ち込んだが、今シーズンは対前年比17.6%増の372万トンと見込まれ、そのうち輸出可能量は19.7%増の303万トンに回復する見込みである、(5)EUの99/2000年度は増産見込み→アメリカの農務官によると、99/2000年度のEUの砂糖生産高は、作付面積は若干減少するものの、単収が大幅にアップすることが見込まれることから、対前年比3.4%増の1,842万トンになる見込みである、などを挙げている。
 一方、強材料として、(1)フィリピンの輸入が増える見込み→フィリピンはかつての生産国の面影は消え、94/95年度から輸入国に転じている。今シーズンの要輸入量は60万トンが見込まれるほか、援衝在庫を持つことが検討されている、(2)ブラジルの99/2000年度は減産→ブラジルはさとうきびからのアルコール製造と砂糖生産の配分が前年並みなら砂糖生産は横ばい、従来のようにアルコール製造が優先なら砂糖は大幅な減産になることが考えられる、(3)白糖のプレミアム堅調→白糖のプレミアムは76ドル/トンと堅調に推移しており、これならトーリング(粗糖を輸入して白糖に加工して再輸出)需要が期待できる、などを挙げている。
〔輸入農産部〕
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【世界の砂糖需給予想】

 各調査機関等の1998/99年度における世界の砂糖生産量・消費量の見通しが出そろった。
 生産量では、各調査機関等とも増産となっている。各調査機関等平均では、2,074千トン(1.6%)増産の129,137千トンとなっている。
 一方、消費量では、各調査機関とも前年度を上回る見通しで、各統計機関平均では、1,744千トン(1.4%)上回る、125,134千トンと見通している。
 98/99年度の需給バランスでは、各調査機関とも生産量が消費量を上回り、供給過剰になるであろうと見通している。

1998/99年度 世界の砂糖需給予想
(単位:千トン、%)
  生産量 消費量 バランス
LMC社
(99. 3. 31)
98/99 129,217 124,176 5,041
97/98 126,895 121,960 4,935
前年比 数量 2,322 2,216  
比率 101.8% 101.8%  
ザーニコフ社
(99. 2. 18)
98/99 129,790 124,661 5,129
97/98 126,165 123,034 3,131
前年比 数量 3,625 1,627  
比率 102.9% 101.3%  
ISO
(99. 3. 12)
98/99 128,573 126,951 1,622
97/98 127,485 125,351 2,134
前年比 数量 1,088 1,600  
比率 100.9% 101.3%  
F・マン社
(99. 2. 1)
98/99 129,780 125,157 4,623
97/98 126,610 123,026 3,584
前年比 数量 3,170 2,131  
比率 102.5% 101.7%  
F・O・リヒト社
(99. 3. 2)
98/99 128,323 124,726 3,597
97/98 128,159 123,578 4,581
前年比 数量 164 1,148  
比率 100.1% 100.9%  
平 均 98/99 129,137 125,134 4,002
97/98 127,063 123,390 3,673
前年比 数量 2,074 1,744  
比率 101.6% 101.4%  
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