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アイスクリームと砂糖

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最終更新日:2010年3月6日

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今月の視点
[1999年8月]

(社)日本アイスクリーム協会 事務局長
平山 寛


1.はじめに  2.アイスクリームの歴史〜砂糖とともに栄える  3.アイスクリームの種類
4.アイスクリームの製造〜砂糖は必須原料  5.アイスクリームの秘密〜砂糖にもその秘密が
6.アイスクリームの生産販売量  7.終わりに


1.はじめに

 冷たくて甘くて、ほのかに香るバニラ、それぞれがバランスよく口の中に広がる時、人々は至福の一時を過ごすことができる不思議な食べ物アイスクリーム。他の食べ物にはない不思議な魅力を持ち、今でもデザートの王様として君臨し、小学生から60歳の各年齢層にわたるアンケート調査でも80%以上の人々にアイスクリームは大好きと言われています。このアイスクリームと砂糖は切っても切れない仲、昔からの深い仲なのです。

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2.アイスクリームの歴史〜砂糖とともに栄える

 古来、人々は自然の中にある色々なものを利用し、生活を営み、時には楽しんできた。そんな中で、天然の氷雪の利用も古来からなされてきており、初めは経験的にそれらが食べ物の保存に有効と知り利用したようだが、同時に暑い季節に冷たい雪や氷を食べられたら、これはもう何にも譬たとえがたい素晴らしいことだっただろうし、さらには、この氷雪に甘味料や果汁をかけて食べたら、まさにこの世の食べ物とは思われなかったに違いない。氷雪の利用についての記録は、古代ギリシャ・ローマ時代にも多くみられ、例えば、アレキサンダー大王(紀元前356〜323年)が軍の士気を鼓舞するため、果汁に糖蜜を加え、雪で冷やした飲み物を兵士に与えたとか、ローマではシーザーがアペニン山脈から、暴君ネロはアルプスから多くの奴隷を使って万年雪を運ばせ、これを保存しておいて蜂蜜や果汁等をブレンドした飲み物を冷やし、時にはバラやスミレの花の香りの入った水を加え飲食したという。日本では仁徳天皇の時代の4世紀後半には氷室が作られたと日本書紀に記述がある。そして、氷室に蓄えられた氷は、宮廷に納められ、天皇をはじめその親族、宮廷貴族や上級女官らに暑い夏の日に下され、かき氷(「削り氷」(けずりひ)という)として、これに「あまずら(つたの甘い汁を煮詰めたもの)」をかけ、食したという。清少納言はこれを「貴あ重てなるもの」と枕草子の中で賞賛している。
 さて、イスラム圏の古い物語「千夜一夜物語」にも砂糖を使った冷たい飲み物「シャルバート」について語られていて、中東地域では、古くからサルタン(回教国の君主)などが雪や氷を利用する習慣があった。このアラビア語シャルバートは、シャーベットの語源となるが、シャルバートは食事や入浴の後、病後や疲労の回復、祝宴の際飲まれたといわれ、ショ糖の液に果汁などを入れ、ジャコウやリュウゼンコウなどで風味付けされ、氷や雪で冷やしたものであった。このシャルバートは、アラブ人の交易で中国や当時の文明の中心地であった地中海地域へも伝えられた。特に、地中海最大の島であるシチリア島では、甘蔗栽培が大々的に導入され、シャルバートは、ソルベット(シャーベットのイタリア語)に名を変え伝えられた。この島には、エトナ山という夏でも雪を頂く3,263の高山があり、気候温暖な地中海地域に豊富なフルーツやその乾燥品、ナッツ類は入手が容易であり、さとうきび栽培が始まり生産されていた砂糖と組み合わされ、さらには当時の文化の創り手であった僧院があったことから、当地でのシャーベット作りは発展し、イタリア半島に広まっていった。また、当時作られたという(注)カッサータは、現在でもシチリア島の名物として売られているという。16世紀中頃になると、イタリアにおいて、氷に硝石を混ぜ飲み物を凍らせる画期的な技術が開発された。この技術が開発される直前の16世紀初めに、イタリアのフィレンツェ一の大富豪メディチ家のお姫様カトリーヌが、後のフランス国王アンリII世となるオルレアン公のもとに嫁いだ。この時、調理人、菓子職人等多数のイタリア人を伴い、当時かなり粗野であったフランス宮廷の食文化を一変させたという(現在のフランス料理の基礎を築くこととなる。)。当然、凍結技術が開発された時も直ちにフランスに伝わり、当時パリでよく売られていたレモネードも凍らせてソルベ(シャーベットのフランス語)として売られることとなり、いよいよ今でいうシャーベットに近いものが作られるようになった。17世紀後半になると様々な原料を使って色々なシャーベット類が開発され、ついには1720年パリ郊外にある町シャンティでのお祭りの際には、生クリームを原料としたホイップクリームを凍結させたグラス・ア・ラ・シャンティ(グラスはフランス語でアイスクリームのこと)と名付けられたものが、シチリア島出身のプロコープにより作られ、これが現在のアイスクリームの元祖とされている。
 ヨーロッパで発展したアイスクリーム作りは、18世紀初めには既にアメリカに伝わっており、ヨーロッパではどちらかといえば宮廷や特権階級などの人々に供される傾向であったが、アメリカではいち早くアイスクリームの工業生産に取り組み、一般大衆のものとしている。即ち1851年、牛乳屋ヤコブ・フッセルは、メリーランド州ボルチモアでアイスクリームの製造販売を始め、後に彼はアメリカのアイスクリーム産業の父と呼ばれている。  一方、日本人で初めてアイスクリームを食べたと思われる記録が、万延元年、幕府遣米使節団に随行した柳川当清の日記にあり、「又珍しき物あり、氷を色々に染め、物の形を作り、是を出す。味は至って甘く、口中に入るるに怱ち解けて、誠に美味なり。これをアイスクリンという。」と記している。日本で初めてアイスクリームを製造販売したのは、町田房蔵という人で、明治2年、当時の居留地横浜馬車道通りであったと横浜沿革史にある。昭和39年、このことを顕彰し、(社)日本アイスクリーム協会は、5月9日をアイスクリームの日と定め、以後アイスクリームの無料プレゼントやフェスタ等様々なイベントをこの日に合わせ実施している。なお、日本で初めての町田房蔵のアイスクリームの値段は、金2分(当時の大工の日当の2倍に相当)だったため、はなはだ高く、外人が買うのみであてはずれだったとか、ただし、翌年のお祭りの時に再度挑戦したところ、大変売れたとのことである。値段を考え、レシピも工夫したのかも知れない。
 
注:ドライフルーツや砂糖漬けの果物やナッツ入りのアイスクリームをチョコレートやカスタードのアイスクリームで覆ったドーム状の2層にしたアイスクリームをいい、アラビア語のカサー(大きな深いボール)を語源とする。当時はアイスクリームといってもシャーベットに類するものだったと考えられる。

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3.アイスクリームの種類

 現在、日本では食品衛生法に基づく「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」により、アイスクリーム類は定義され、かつ、細かい成分規格、製造基準が決められている。これに対し氷菓は、やはり食品衛生法に基づく厚生省告示「食品、添加物等の規格基準」により成分規格等が定められている。成分規格についてまとめてみると表1の通りである。即ち、乳固形分(牛乳から水分を除いた固形分)と乳脂肪分の含有量によって分類されており、アイスクリーム類は、乳固形分3%以上のものをいい、その他のものが氷菓ということになる。アイスクリーム類は、表1にある通り、アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイスの3つに分けられる(これを種類別という)。
 一方、アイスクリームには色々の形態をしたものがあり、かつ、フレーバーもまちまちである。形態別に分類してみると表2のようになり、最も売れているのはマルチパックである。このマルチパックというのは、バー、カップ、もなか等のやや小型製品を6個とか10本とかを1つの紙箱等に詰め合わせたものである。家庭に買い置いて、子ども達のおやつとして、また、大人が好きな時に食べるのに都合が良いので、お母さん方には大変好評である。
 アイスクリームのフレーバーには様々なものがあり、分類が難しく、フレーバー別の生産統計は採られていないが、一番多いのは何と言ってもバニラであり、次いでチョコレート、ストロベリーと続き、抹茶、コーヒー、あずきなどがこれらに続くと思われる。

表1:食品衛生法に基づくアイスクリーム類及び氷菓の分類・成分規格
(1) 乳及び乳製品の成分規格等に関する省令〔厚生省令第52号(昭和26年12月27日)〕
製品区分
及び名称
定   義 種 類 別 成 分 規 格
乳固形分 乳脂肪分 大腸菌群 ※細菌数
乳製品


アイス
クリーム類
アイスクリーム類とは、乳又はこれらを原料として製造した食品を加工し又は主要原料としたものを凍結させたものであって、乳固形分3.0%以上含むもの(はっ酵乳を除く)をいう。 アイスクリーム 15.0%以上 8.0%以上 陰 性 1g当たり
100,000以下
アイスミルク 10.0%以上 3.0%以上 陰 性 1g当たり
50,000以下
ラクトアイス 3.0%以上   陰 性 1g当たり
50,000以下
(2) 食品、添加物等の規格基準〔厚生省告示第370号(昭和34年12月28日)〕
一般食品   氷  菓 上記以外のもの 陰 性 1mg当たり
10,000以下
※ただし、はっ酵乳又は乳酸菌飲料を原料として使用したものにあたっては、乳酸菌又は酵母以外の細菌数をいう。

表2:形態別生産販売量(1998年度)
(単位:千kl)
紙カップ プラカップ スティック コーン モナカ マルチタイプ ホームタイプ 業務用 その他 合計
149.3 118.0 66.0 66.8 43.7 222.8 24.8 66.8 66.8 825.0
((社)日本アイスクリーム協会調べ)

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4.アイスクリームの製造〜砂糖は必須原料

 アイスクリーム類の製造に必要な原料は、牛乳、砂糖が必須であり、家庭で作る時はこれだけでも可能であるが、出来上がったものは味がちょっと物足りなく、また、極めて溶けやすく、空気の混入も不安定でカチンカチンになりやすく保存性がない。これに卵黄と生クリームを加えるとかなりおいしくなり、保存性もかなり良いものができる。一般市場で販売するアイスクリーム類は何と言っても商品のおいしさを確保し、かつ、それを安定して長期に保つ必要があり、そのために色々工夫される。使用する原料も、牛乳、砂糖、生クリーム、卵黄(入れない場合もある)を基本とし、これらの代替またはおいしさを増強するために、各種乳製品、各種糖類(ブドウ糖、果糖、水飴等)を使用する。さらに品質(おいしさ、保存性)を確保するため、乳化剤や安定剤、着色料、香料を使用する。この他、製品の種類に応じ、各種果汁、チョコレート、各種ソース類、ナッツ類、抹茶など色々な風味原料を用いる。
 アイスクリーム類の製造は、簡単に言えば各種原料を水に溶かした後、加熱殺菌し、これを冷やしてからフリーザーにかけ、空気を混入しながら凍結を進め、容器に詰め、マイナス30℃以下で急速凍結し商品が出来上がる。これだけ見るとアイスクリーム類の製造は、はなはだ簡単に感じられると思うが、「3.アイスクリームの種類」に記したように、食品衛生法関連法規で成分規格、製造規準(例えば、加熱殺菌は68℃30分間以上か、それと同等以上の殺菌効果のある方法を用いなければならない等)が決められており、最終製品の品質を確保するための各工程での管理、検査を十分実施する必要もあり、その上アイスクリーム類を製造する場合は、都道府県知事から営業許可(一定の施設をもち、管理できなければならない)を取得しなければならないなど繁雑なことが多い。また、営業許可を取った後は、食品衛生監視員の監視を年6回以上受けることが法令で決まっており、これほど多くの規制をクリアし、製造販売されていることを考えれば、アイスクリームほど安全な食品はないと言っても過言ではない。

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5.アイスクリームの秘密〜砂糖にもその秘密が

 アイスクリームには、幾つかの秘密があるが、おいしさと栄養の秘密について述べてみる。
 まずおいしさの秘密であるが、アイスクリームのおいしさは、乳、乳製品とマッチしたこくのあるバニラ風味と冷たさ、甘さのバランスにある。これは、まずは原料のおいしさと配合のおいしさによる。即ち、良い原料と適切な配合が求められる。特に、砂糖やその他の糖類は、あのおいしい甘みの程度を決める他に凍結点を左右し、アイスクリームの品質を決定付けるので重要な位置を占める。
 もう1つ、アイスクリームのおいしさの秘密はその組織にある。アイスクリームの滑らかな、冷たいけれど心地好い冷たさ。この秘密は、均一に細かく混入した空気と均一に細かく形成した氷の結晶の大きさにある。即ち、空気を混入(空気混入による容積増加率をオーバーランという)させると、空気の断熱効果により、口の中に入れた時の冷たさが柔らげられて感じられ、まろやかとなり、さらに、氷の結晶が小さく均一であると組織は一層滑らかとなり、あの独特なまろやかな風味を作ることとなる。逆に冷たさを強く感じさせるためには、オーバーランを下げ、また氷の結晶を粗大にすることである。かき氷は同じ温度でも最も強く冷たさを感じさせる。したがって、暑い夏には冷たさをより強く感じさせるこのような製品がよく売れる。最近は製造技術の進歩もあり、氷の結晶を細かく生成させる一方、この中にやや大きい均一な氷の結晶を混合し、組織は一見滑らかだがやや冷たさを強く感じさせる製品も作られてきている。また、かき氷タイプの製品は、とかく堅く凍結し、サジの通りが悪くなりがちなので、糖類の使い方も工夫し、凍結点を変え、食べやすい工夫もされた製品も出されている。
 もう1つのアイスクリームの栄養に関する秘密だが、これには2つあり、1つはアイスクリームはバランスの良い栄養食品であるということ、もう1つはアイスクリームは食べても太りにくいということである。乳脂肪8%の種類別アイスクリームに含まれるカルシウムは、100g当たり140mgと牛乳の100g当たり100mgより優る。その他、ビタミンA、B1、B2も適量含まれている。表3にオーバーラン90%の130mlカップ、乳脂肪8%アイスクリームで1日栄養摂取基準量の何%が摂取できるかを示した。朝食を抜く若い人が結構いると聞くが、生き生きと1日を過ごすには、まず朝に何かを食べ、エネルギーをまず体に取り入れる必要がある。アイスクリームの嫌いな人はいないと言っても過言ではなく、食欲の無い時もアイスクリームなら食べられるのではないだろうか。朝食を抜く代わりに、アイスクリームの1つでも食べれば、必要な栄養素をある程度補給でき、かつ、砂糖を含むので、エネルギーは効率良く補給される。また、カルシウムも結構含むので、牛乳の飲めない人や、食欲がなく、食の進まない人にも是非お勧めである。特にお年寄りには絶好であると考える。

  エネルギー
kcal
たんぱく質
g
脂 質
g
糖 質
g
カルシウム
mg
ビタミンA
IU
ビタミンB1
mg
ビタミンB2
mg
備 考
A 栄養基準量 2,000  60  50  300  650  1,800  0.8  1.1  (1)
B アイスクリーム1カップ 136  2.9  6.0  17.5  105  173  0.05  0.15  (2)
B/A×100 6.8% 4.8% 12.0% 5.8% 16.2% 9.6% 6.3% 13.6%  
備 考  (1) 日本人1日当たり栄養摂取基準量(平成8年6月衛新第60号)
(2) 乳脂肪分8%、130ml、オーバーラン90%のアイスクリーム

 もう1つの太りにくいという件であるが、筑波大学運動・栄養生化学の鈴木正成教授の話によると、アイスクリームは、摂取後の血糖値の上昇が緩やかであり(グリセミック指数が低い)。したがって、脂質代謝も支配するインスリンの分泌を急激に増加させないため、脂肪のエネルギーへの代謝を阻害しない(逆に言えば組織への脂肪としての蓄積がされにくい)。また、アイスクリームは冷たいため、体熱を戻すためのエネルギー消費が増えるので、摂取したカロリーが全て太るということにつながるのではなく、むしろエネルギーとして消費される部分が多くなる。この2つの理由で太りにくいと言えるのである。とかくアイスクリームを食べると、甘くて脂肪も高いので太るとのイメージが強いが、前記の理由の他、冷たいから一度にそんなにたくさんは食べられないし、そもそも乳脂肪8%のアイスクリームは、100g当たり180kcal(食品標準成分表4訂)で、デザートとして良く食べるショートケーキ100g当たり340kcal(同出典)に比べればかなり低い。太ることなど考えずに安心して一時の至福の時間を過ごすことこそ、このせち辛い世の中、必要なことではないだろうか。それでも、どうしてもカロリーが気になるということであれば、アイスクリームには色々な種類があり、カロリーも様々なものがあるので、表示された成分値も参考にしながら選んではどうだろうか。

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6.アイスクリームの生産販売量

 (社)日本アイスクリーム協会の調査によるこの3年間の日本におけるアイスクリーム類及び氷菓の生産販売量・販売高を表4に示す。この3年間の特に夏季の天候が不順であったことに加え、世の中の景気も金融機関の破綻が相次いで起こるなど全く悪かった。アイスクリーム販売にはいずれも強い向かい風となった。しかし、昨年度(平成10年度)は、販売金額こそ前年割れであったものの、これらの強い向かい風の中で、特に関東以北の夏の天候不良のひどさを考えれば、そんな状況の中で物量において前年をキープできたことは、大変意義のあることと考えている。これは確実にアイスクリームを買って下さるお客様がいる証しであり、喜んで買って頂ける商品の供給をこれからも続けていかなければならないと考える。ただし、売れた中身は現在の消費不況を反映してか、価格の割にボリューム感のある、割安感のある商品群にシフトした感じはある(乳、乳製品を多く使う種類別アイスクリーム、アイスミルクが減少し、乳、乳製品の使用が比較的少ないラクトアイス、氷菓が前年をかなり上回っている)。今年は長期天気予報でも暑い夏の確率は高いとしており、エルニーニョ現象は終息し、今度はラニーニャ現象が発生しているという。こうなると日本の夏は暑くなる確率が高いとのことで、夏が暑くなれば景気も回復し、アイスクリームもよく売れると、とらぬ狸の皮算用中である。最後になってしまったが、アイスクリームの生産量は、現在ここ3年微減で推移してきたが、昨年は物量で前年をキープ、したがってアイスクリームへの砂糖の使用量の減少も底を打ったと考える。コスト、物性等の関係で異性化糖が多く使われるようになり、砂糖の消費量はかなり減ってきているものの、現在のアイスクリームへの砂糖の使用量を推定してみると、年間約4万8千トン位ではないだろうか。

表4:この3年間のアイスクリーム類及び氷菓の生産販売量
(単位:物量は千kl、販売金額は億円)
年 度 アイスクリーム アイスミルク ラクトアイス 氷  菓 合計物量 販売金額
物 量前年比 物 量前年比 物 量前年比 物 量前年比 物 量前年比    前年比
1996 185.693.9 104.998.6 297.4109.6 259.388.3 847.297.5 3,78597.6
1997 187.8101.2 118.2112.7 278.493.6 289.192.2 823.597.2 3,75099.1
1998 175.793.6 103.787.7 295.7106.2 249.9104.5 825.0100.2 3,67197.9
((社)日本アイスクリーム協会調べ)

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7.終わりに

 最近若い人々は、痩身願望が強く、また、健康志向の強い時代となり、肥満は大敵とばかり、特に砂糖がスケープゴートとされ、甘い物は何かと目の敵にされている。しかし、古来、人は動物として甘い物、特に砂糖は栄養源として非常に優れていることを経験的に察知し食してきた。その重要性は現在でも変わりはないと考える。砂糖を使用した料理、食べ物はその使い方にもよるが、コクがでるなど非常においしくなる。おいしい食べ物は人の情緒を安定させ、生活の質を豊かにする。何事も過ぎたるは及ばざるがごとしで、食べ過ぎはそれが何であっても良いはずはなく、砂糖だけの問題ではない。栄養学的に正しい知識が一般に広まり、ゆとりを感じるバランスのとれた食生活を皆で楽しむことを期待したい。

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「今月の視点」 
1999年8月 
「砂糖の正しい知識を」
  和洋女子大学 教授 坂本元子
アイスクリームと砂糖
  (社)日本アイスクリーム協会 事務局長 平山 寛
沖縄の農業・農村の多面的機能評価について
  沖縄県農林水産部


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