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少収、低糖度はどこから来るか?

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最終更新日:2010年3月6日

砂糖類ホームページ/国内情報

今月の視点
[2003年10月]

九州沖縄農業研究センター さとうきび育種研究室長  杉本 明


琉球弧・南北大東島地域におけるさとうきびの高糖多収生産の条件
I. 問題圃場の現地診断
II. 各地域における診断の結果と多収・高糖を実現するための栽培改善の方法
  1.沖縄本島北部   2.伊是名島   3.喜界島
  4.沖縄北部、伊是名島、喜界島における多収・高糖の実現に向けた栽培改善に
必要な重要事項
おわりに


琉球弧・南北大東島地域におけるさとうきびの高糖多収生産の条件

 先月号でも述べたが基本的なことなのでもう一度繰り返す。さとうきびの多収の要素は多い茎数と重い1茎重である。多い茎数の要素は多い株数と多い株当たり茎数である。重い1茎重は、光・ガス・養水分の十分な継続的吸収と利用によって保証される。養水分の吸収は根系の大きさと活性、及び良好な土壌環境に基盤を置き、光とガスの吸収は多い生葉と受光態勢の良否に左右される。同一品種の場合、茎収量が類似の水準なら、生葉が多く光を多く受けることができたときに高糖度になる。茎収量・糖度の向上に必要な外部の環境が多い日照、適度な降雨と肥沃な土壌であり、立毛自身が具えるべき特性が受光態勢と養水分吸収態勢の維持である。
 少収や低糖に関する原因やその対策は、さとうきびの目を通さず、いきなり肥培管理の善し悪しで語られることが多い。さとうきびの目を通過したその先の肥培管理と、さとうきびの目を通過しない直接の人為では、さとうきびとの関係の馴染み、条件の変化への適切な対応等に大きな差異が出る気がしてならない。そこで、ここではまず、少収や低糖を、さとうきびにとって必要なインプットの不足と考えることにした。幾つかの要素の内、どの要素が不足するのか、それはどのインプットの不足から来るのかを考えた。インプットの充足には、肥培管理の充実、圃場環境や作物の特性改良等、幾つかの道があるはずである。幾つかの道のうちで地域・担い手にとって最も実行し易い方法、それが栽培改善の処方箋になるに違いない。
 平成13年度に低生産力圃場の診断を開始し、平成13年度には奄美大島、沖永良部島、与論島、伊平屋島、久米島、南大東島、北大東島、与那国島、平成14年度は、石垣島、多良間島、伊是名島、沖縄本島北部地域、喜界島を対象に実施した。本号では、沖縄本島北部地域、伊是名島、喜界島について報告する。
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I. 問題圃場の現地診断

 (前号に掲載したのでここでは省略する。本文及び表中の多収・高糖度、多収・低糖度、少収・高糖度、少収・低糖度の分類は、現地調査の圃場選定のために、これまでの経験に基づいて評価されたものであり、立毛調査の結果と矛盾する場合もある。)
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II. 各地域における診断の結果と多収・高糖を実現するための栽培改善の方法

1.沖縄本島北部
 琉球弧・南北大東島の主な地域の平成13/14年期の生産状況を示すために第1表を再掲する。沖縄本島北部地域は、収穫面積がおよそ1,290ha、生産量は73,190tである。夏植が11.9%、春植が21.2%、株出が66.9%と、夏植或いは春植の後に2回の株出を続ける3年3作が基本である。主な地域では、種子島、徳之島、与論島、南北大東島、久米島、伊是名島、沖縄本島南部等が類似の作型である。主導品種はF177で普及率は61%、外にNiF8(21%)とNi9(16%)が多い。夏植の収量は6,949kg/10aと沖永良部島と同程度で少なく、春植の収量も4,869kg/10aで少ない。甘蔗糖度は14.3%で沖縄の調査地域では中位である。春植及び夏植の収量向上を通して株出収量を向上することが必要な地域である。
第1表 琉球弧の主要地域におけるさとうきびの生産状況(2001/2002年期)
第1表
注)品種構成比;沖縄県は平成13/14年期の実績

1)調査圃場の概況
 調査した圃場は全て株出の圃場であった。調査圃場におけるさとうきびの特性を第4表、特徴的な圃場の様子を、写真7、8に示した。推定収量は163〜1,012kg/a、圃場ブリックスは13.2〜22.6%(極少収圃場を除くと13.2〜18.9%)とどちらも圃場間の差異が大きかった。強い台風の来襲を受けたためもあり基本的に少収、概して低糖であった。極少収や少収は、茎伸長が極不良、畦幅が広く茎数が少ない圃場であった。多収な圃場は原料茎数が多かった。しかし圃場ブリックスは13.2%と低糖であった。少収圃場は何れも圃場ブリックスが高かった。株出回数が多い場合でも多収圃場が、少ない場合でも極少収の圃場が認められた。圃場の自然環境と栽培方法の不適合により極少収が生まれている典型的な事例であると推察され、栽培改善が急がれる圃場が多かった。
第4表 沖縄本島北部の調査圃場におけるさとうきびの生育状況
現地調査での検討風景
注)*:類型;現地の担当者が過去の実績及び予備調査で判断した類型であるため、実際の推定と異なる場合がある。

(1) 多収・高糖圃場 ; 4回株出のNi9。畦幅は150cmと広い。培土はやや高く、株中への土の投入も良く、管理は充実している。雑草はやや少ない程度である。欠株は少なく分げつも中程度だが風折茎が多く、また、畦幅が広いため原料茎数は555本/aと少ない。仮茎長238cmと伸長はやや不良だが茎径は24mmで中程度なため、1茎重は1,005gとまずまずである。推定収量は生育状況の割に少なく、560kg/aである。出穂は見られず、生葉も少ないが、倒伏も少ないため圃場ブリックスは18.9%と比較的高かった。畦幅を縮めて茎数を増やすことが有効であると思われる。

(2) 多収・高糖圃場 ; 春植後の株出2回目の不明品種(F172と推察される)。東向きの棚田の転換畑、湿地で流水がある。地力は高いと思われる。畦幅は120cmで比較的狭い。培土はやや高く、株中への土の投入も良好である。欠株は少ないが分げつが中程度あるため、茎数は764本/aと中程度である。仮茎長は255cmとやや短い程度であり、茎径は25mmでやや太いがむらが多い。推定収量は887kg/aでこの地域では多収である。倒伏はやや多い程度で草高も高く、葉枯れ病が多いが生葉は多く、受光態勢は良好である。出穂はない。圃場ブリックスは13.2%と低い。品種特性であると推察される。枯死茎や障害茎も極僅かである。NiF8やNi15等の高糖性品種、黒穂病防除が徹底できればRK91-1004等の高糖性で株出多収性系統の利用が有効であろう。RK91-1004は黒穂病に罹りやすい系統である。多くの地域で利用の提案をしているが、どの地域についても黒穂病防除の徹底が前提であることをはじめに断っておきたい。

(3) 多収・低糖圃場 ; 株出4回目のNiF8。山に囲まれた細い谷沿いの平地。国頭マージの赤い土である。畦幅は110cmで狭い。培土はやや高く、株中への土の投入は良好である。欠株は少〜中程度あり、分げつはやや少ないが、畦幅が狭いため1,091本/aと茎数は多い。仮茎長は240cmで伸長は中程度、倒伏は多い。茎径は24mmで中程度である。推定収量は1,012kg/aと多い。障害茎・枯死茎が少〜中程度ある。生葉はやや少なく、白星病やさび病が目立つ。根が浅い品種特性を高培土で補っているが、それでも転び倒伏が見られる。株上がりによると思われる。出穂はなく、圃場ブリックスは13.2%と低い。中耕の早期化による分げつ促進、耐倒伏性、高糖性で、株の引き抜きが少なく株出で高糖・多収なRK91-1004の導入が有効である。晩期収穫であれば、茎数型で黒穂病にも強い株出多収系統のKF93T-509の導入も検討に値しよう。

(4) 多収・低糖圃場 ; 株出1回目のNiF8。二方を山に囲まれた低地の平地、転換畑である。畦幅は120cm。培土は中程度の高さで頂部が広く株中への土の投入も十分である。剥葉がきれいにされている。欠株は極僅かだが分げつが少なく、茎数は764本/aでやや少ない。仮茎長は258cmで伸長は中程度、茎径は25mmでやや太い。推定収量は875kg/aとこの地域の中では多収である。倒伏はやや多くやや乱倒伏し、根が浅いために転び倒伏も認められる。そのための枯死茎も認められる。地力が高いためか生葉は多くきれいである。圃場ブリックスは16.9%と低かった。茎数型で高糖性のNi15の利用が有効であると思われる。RK91-1004のような株張りの優れた、耐倒伏性で高糖性の株出多収品種の導入も検討すべきである。

(5) 少収・高糖圃場 ; 株出2回目のNiF8。山の上、西向きの斜面黄色の国頭マージ。pHが低そうな典型的な山地の少収圃場である。畦幅は135cmでやや広い。培土は低く、株中への土の投入も不良である。小さな欠株が中程度あり、分げつは中程度だが、畦幅が広いため、原料茎数は679本/aと少ない。節間が短く仮茎長139cmと伸長は極不良で、茎径も19mmで細いため、推定収量は278kg/aで極めて少ない。倒伏は少ない。生葉は黄色で少ない。出穂は少ない。干ばつ、及び台風時の潮風害の影響も認められる。圃場ブリックスは22.6%と高かった。伸長の促進が第一の課題であり、深耕や有機物投入による土壌改良は勿論、KR91-138等への品種転換が有効である。良質苗を多投入し培土を早め、少し高めに実施することも有効である。畦幅を110cm程度に縮めて株数・茎数を増やすことの効果も大きいであろう。

(6) 少収・高糖圃場 ; 株出4回目のNi9。山地、高台の真っ赤な色をした国頭マージである。畦幅は140cmで広い。培土は肩が広く低い。欠株は中程度で分げつは中程度だが、畦幅が広いため、原料茎数は786本/aでやや少ない程度である。仮茎長は172cmで伸長は不良、茎径は18mmで細い。推定収量は352kg/aと少ない。生葉は少なく、白星病、さび病が認められる。出穂は少ない。圃場ブリックスは18.9%である。明らかな地力不足で生育不良である。土壌改良の外、対策の第一は、KR91-138のような痩せ地向けの株出多収品種の導入である。畦幅を縮め、株数を増加させることも有効である。株揃え等、株上がり防止に有効な株出処理の実施も重要である。

(7) 少収・低糖圃場 ; 夏植後の株出1回目のNi9。元々パインアップル栽培に適する山地の痩せ地圃場。畦幅は130cm。培土は低いが株中への土の投入はしっかりしている。欠株が多く、分げつがやや少ないため、538本/aと原料茎数は少ない。仮茎長は172cmで伸長は不良、茎径も21mmと細い。推定収量は285kg/aと極めて少ない。生葉は極少ない。倒伏は少ない。折損茎が極めて多い。圃場ブリックスは20.6%と高い。健全苗の多投入による株立ちの確保、畦幅の縮小が第一の対策である。KR91-138のような痩せ地向け株出多収性品種への転換も有効である。

(8) 少収・低糖圃場 ; 株出3回目のNiF8。山地の高台、れきを砕いたような荒い灰色の土壌。典型的な少収圃場である。畦幅は170cmと極めて広い。培土はやや高く、頂部は広く、株中への土の投入もしっかりとして良好である。分げつはやや少ない程度だが、畦幅が広く欠株が多いため、382本/aと茎数は極少ない。仮茎長123cmと伸長が極不良で、茎径も21mmと細いため、推定収量は163kg/aと極端な少収である。生葉はやや少なく色も薄い。折損茎が多い。圃場ブリックスは21.3%で高い。この圃場も伸長の促進が第一の課題であり、KR91-138等、萌芽性や根系の優れる痩せ地向け株出多収品種への転換が必要である。種苗の多投入・適期植により新植での欠株を最小化すること、畦幅を縮めて株数を増やすことも重要である。
写真7
写真7:沖縄本島北部;広い畦幅。
欠株が生じ、かつ伸長不良の場合には
極端な少収になる危険性がある。
写真8
写真8:沖縄本島北部;3回株出のNiF8。
畦幅が広く、欠株も多く
伸長も不良で極少収。
2)改善の要点と対策 ; 少収圃場は山地の痩せ地圃場でいずれも伸長不良である。欠株が比較的多い上に、畦幅が広いため、株数、茎数が少ない。対策の第一は、畦幅の縮小、健全種苗の適期・多投入による出芽・株立ちの確保、基肥の実施、KR91-138のような痩せ地向け株出多収品種の導入である。低糖圃場は倒伏が激しく生葉が少ない。株揃え等の実施による株上がりの抑制やRK91-1004のような耐倒伏性品種の導入による倒伏抑制・登熟期の受光態勢改善が必要である。
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2.伊是名島
 伊是名島は、収穫面積がおよそ399ha、生産量は17,194t、夏植が15.1%、春植が16.6%、株出が68.5%と、夏植或いは春植の後に2回の株出を続ける3年3作が基本であるが、多回株出の圃場も多い。主な地域では、種子島、徳之島、与論島、南北大東島、久米島、伊是名島、沖縄本島南部、同北部等が本地域と類似の作型で実施している。主導品種はF177で普及率は66%、そしてNi9が34%である。夏植の収量は6,459kg/10aで沖縄本島北部地域より少なく、春植の収量は 3,339kg/10aで極端に少ない。株出の平均収量も4,078kg/10aと少ない。甘蔗糖度は14.0%で沖縄の調査地域では中位である。夏植、春植の収量向上を通した株出収量の向上が必要な地域であり、まず新植収量の向上を追求すべきである。

1)調査圃場の概況
 調査した圃場は全て株出であった。調査圃場におけるさとうきびの特性を第5表、特徴的な圃場の様子を、写真9、10に示した。推定収量は434〜1,173kg/aで1圃場を除き極端な少収圃場はなく、昨年の平均収量よりどの圃場も多かった。圃場ブリックスは16.8〜21.2%(比較的多収な圃場では17.4〜19.4%)と沖縄本島北部より高かった。株出4回に達する圃場でも原料茎数は比較的多かった。少収圃場は茎の伸長が不良で茎が細かった。節間長も短く、培土の不足或いは株上がりの影響が強く示唆されていた。多収な圃場は茎伸長が良く、茎も対象圃場の中では比較的太く、節間長も長かった。生育環境が優れたことを如実に示している。収量にも圃場ブリックスにも品種による直接の差異は認められなかった。
第5表 伊是名島の調査圃場におけるさとうきびの生育状況
現地調査での検討風景
注)*:類型;現地の担当者が過去の実績及び予備調査で判断した類型であるため、実際の推定と異なる場合がある。

(1) 多収・高糖圃場 ; 夏植後、2回株出のNi9で、夏植16t、1回株出は14tの多収圃場である。あと2回程度は株出を継続する予定とのことである。畦幅は130cm。培土はほとんどなされていない。欠株がほとんどなく、分げつも多いため茎数は949本/aと比較的多い。仮茎長は279cmと伸長は中程度だが徒長気味で茎は細く(22mm)、培土が不十分なため畦方向への倒伏が多い。出穂は見られない。枯死茎・鼠害茎等多いために推定収量856kg/aと見かけより少収である。ハーベスタ収穫ではロスが多いと思われる。圃場ブリックスは18.7%と中程度である。
 早期型高糖性品種を用いた深溝栽培の実施、株揃えによる株上がり防止、RK91-1004、KF93T-509のような短茎型株出多収品種の導入が有効であろう。

(2) 多収・高糖圃場 ; 夏に採苗した後の株出1回目のNi9。北東向きの緩傾斜地。西側に防風林あり。国頭マージの茶色の土壌で、灌漑施設はない。畦幅は135cm。株出処理はされていないが、培土高は比較的高い(新植時の培土が高かったと推察される)。欠株が中程度あるが分げつがやや多いために原料茎数は1,136本/aと多い。雑草は中。仮茎長は295cmで伸長はやや良好、茎径は23mmで茎はやや細い。推定収量は1,024kg/aで多収である。株元はしっかりしているが、べたりと倒伏しているため、障害茎や極細茎が比較的多い。出穂茎は少ない。Ni9の品種特性としての強い根系に依存した栽培である。圃場ブリックスは18.2%で中程度である。大きな問題は認められないが、一層の向上には、健全種苗の多投入による欠株の最小化、株出処理・中耕培土の早期実施による株上がり抑制、RK91-1004、KF93T-509のような短茎型株出多収品種の導入による受光態勢の改良が有効である。

(3) 多収・低糖圃場 ; 夏植後、株出2回目(2月に収穫、4月はじめに株出処理を実施)のNi9。南向きの緩傾斜地、国頭マージの湿地で地力は高い。畦幅は125cm。培土は実施されていない。欠株は中〜やや多で、雑草は中、分げつはやや少ないが原料茎数は933本/aでやや多い程度である。仮茎長は311cmで伸長は良好、茎径は23mmである。培土がなされていないため倒伏は多〜甚、生葉は良好だが、枯死茎・折損茎・障害茎が目立つ。推定収量は1,114kg/aと多収である。側枝の出ている茎も多いが、出穂茎は少ない。圃場ブリックスは19.4%と中程度である。一層の向上には、作畦の工夫や植え付け時期の変更による出芽促進・欠株の抑制、株出処理が実施できればより効果は大きいが、他の仕事との関係で実施困難な場合には、RK91-1004、KF93T-509のような株出多収品種の導入が重要であろう。

(4) 多収・低糖圃場 ; 株出4回目で更新予定のF177。東に海、南に小高い山がある緩傾斜地、この地域一帯が多収・低糖度である。畦幅は125cm。カセットロ−タを用いた高い培土が特徴である。欠株は少〜中で分げつはやや少、原料茎数は880本/aで中程度である。仮茎長は283cmで伸長は中程度、茎径は22mmでこの品種にしては細い。株上がりの影響であると思われるが、培土が高い割には倒伏が激しい。しかし、株元はしっかりしており、草高は比較的高い。障害茎は少〜中程度である。推定収量は800kg/aで株出回数の割に多収である。生葉は多く良好であるが圃場ブリックスは17.4%で低い。まずは品種の転換を急ぐべきである。多回株出を前提としたこのような圃場にはRK91-1004のような耐倒伏性で高糖性の株出多収系統の導入が有効である。

(5) 少収・高糖圃場 ; 株出2回目のF177。南に海を観るやや高台の緩傾斜地で、真っ赤な畦間の一部に水が溜まり油膜が浮く湿地である。この一帯は典型的な少収地帯で葉色も悪い。夏植でも6t程度であるといわれる。道路の反対側は生育良好である。畦幅は130cmで比較的広い。培土は高い。大きな欠株が多く分げつも少ない。推定した原料茎数は743本/aであるが実際にはより少ないと思われる。仮茎長は155cmで伸長は極不良、茎径は20mmで茎は細い。倒伏は比較的多い。推定収量は434kg/aと少収である。雑草は極めて多い。出穂はない。圃場ブリックスは21.2%と高い。対策の第一は深耕や資材投入による土壌改良・排水改善である。植付け時期の選択による出芽の確保や移植苗栽培による株立ちの確保、KR91-138のような茎伸長の優れた株出多収性品種への転換も有効であろう。

(6) 少収・高糖圃場 ; 株出3回目のF177。西側に伊平屋島を臨む、風の吹き抜ける緩傾斜地。石ころの多い砂地で、干ばつが発生しやすい。畦幅は115cmと比較的狭い。培土はほとんど実施されていない。欠株は中からやや多で分げつが少ないが、畦幅が狭く、原料茎数は957本/aとやや多い。仮茎長は194cmで伸長は不良、茎径は20mmで細く、推定収量は610kg/aと少収である。培土が実施されていないこともあり、茎が短かいにもかかわらず畦方向にべたりと倒伏している。枯死茎・折損茎・野鼠害茎等が中程度あり、実際の収量は推定収量より少ないと思われる。生葉は少ない。出穂もない。雑草は少ない。圃場ブリックスは18.1%で茎が短い割には低い。健全種苗の多投入による欠株の最小化と痩せ地に適応性の高い品種への転換が必要である。株引き抜きの防止や萌芽の改善には、株出処理や、中耕・培土の実施、Ni15、KR91-138、RK91-1004のような株出多収品種への切り替えが重要である。

(7) 少収・低糖圃場 ; 株出3回目のF177。(6)圃場の山側にある圃場で、夏植の生育は良いが株出から収量が激減する地域とのことである。国頭マージで圃場の東半分はやや粘土質、西半分はやや砂質土で生育も異なる。無理をして株出を継続している状況である。畦幅は120cm。培土はほとんどされていない。東側は欠株が中程度あり、分げつも中程度で原料茎数は805本/aとやや少ない。仮茎長は172cmで不良、茎径は22mmでこの品種にしては細い。倒伏は中で、折損が中〜多あり、推定収量は527kg/aで少収である。圃場ブリックスは19.9%と中程度である。西側は欠株が多く分げつも少ないため茎数が少ない。伸長は極不良、倒伏は少〜中で、立枯れがやや多く極少収である。出穂は見られない。雑草は少〜中。まず第一にKR91-138のような痩せ地への適応性が比較的高い株出多収品種への転換が必要である。

(8) 少収・低糖圃場 ; 春植後の株出3回目のNi9。北の海沿いの平地。国頭マージで薄茶色のやや砂質土壌、砂の上に50cm程度客土した圃場で保水力が低い。季節風による葉の損傷や潮風害を受けやすい圃場である。畦幅は125cm。培土は不良である。欠株が極めて多く、雑草も多い。分げつが少ない。推定による原料茎数は880本/aであるが実際にはそれより少ないと思われる。放棄畑のようである。仮茎長は178cmで伸長は不良、茎径は19mmで細い。推定収量は502kg/aで少収、春植の収量も4t程度と少収であった。生葉も極少ない。圃場ブリックスは16.8%と低い。第一に健全種苗の多量投入・適期植え付けによる欠株の最小化、深溝栽培による株上がりの防止等が必要である。品種では第一にNi15のような茎数型で早期高糖性の株出多収品種の導入を検討すべきである。収量の改善にはKR91-138のような初期生育の優れる株出多収品種の利用も有効であろう。
写真9
写真9:伊是名島;1回株出のNi9。
高糖多収である。
写真10
写真10:伊是名島;3回株出のF177;
欠株が多く、伸長も不良、少収・低糖である。
2)改善の要点と対策 ; 株出3回目のNi9を除き、少収圃場はF177の株出2回或いは3回の圃場であった。いずれも欠株が多く茎数が少ない。培土がなされていないせいもあり、茎は細く、倒伏し、障害茎も多い。伸長が不良な場合には極少収になることが必至である。多回株出の継続を前提にするならば、まず、F177から株出多収性の品種・系統(Ni9、Ni15、KR91-138、RK91-1004、KF93T-509等)への転換が必要である。倒伏が激しい圃場には耐倒伏性のRK91-1004が、保水力のない圃場では初期伸長が優れ、株出多収のKR91-138等の導入が有効であろう。収穫後速やかな株出処理(一貫作業機が開発されている)・基肥等の実施が有効である。なおRK91-1004の黒穂病防除の徹底について先に触れたが、Ni9も黒穂病罹病性である。Ni9の利用に際してはRK91-1004と同様、黒穂病に対する防除の徹底が求められることを付記する(以下どの地域でも同様である)。
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3.喜界島
 喜界島は、収穫面積がおよそ1,133ha、生産量は86,083t、夏植が54.5%、春植が8.6%、株出が36.9%と、夏植或いは春植の半分程度が株出に移行している。奄美大島、徳之島、沖永良部島と同様の夏植中心型の作付けが特徴である。主導品種はNiF8で普及率85%、F177が11%である。夏植の収量は8,963kg/10aで沖縄本島南部、種子島に次いで多く、春植の収量は5,781kg/10aで、種子島、徳之島、沖縄本島南部、石垣島につぎ比較的多い。株出収量も南西諸島・琉球弧では比較的多い。甘蔗糖度は13.75%で鹿児島県内では中位である。地域的には高糖多収生産が特徴であり、株出栽培の改善・拡大が課題である。同時に、収量の低い圃場の栽培改善が重要な地域である。

1)調査圃場の概況
 夏植圃場、株出圃場のそれぞれについて、多収・高糖、多収・低糖、少収・高糖、少収・低糖と思われる1圃場ずつを調査した。品種は全てNiF8であった。調査圃場におけるさとうきびの特性を第6表、特徴的な圃場の様子を、写真11、12に示した。推定収量は少収とした圃場から多収とした圃場まで、夏植が724〜1,295kg/a、株出では576〜1,077kg/aと圃場間の差異が大きかった。夏植では昨年の平均収量以下が2圃場、平均収量並みが1圃場、多収圃場が1圃場であった。株出では少収圃場が1圃場、やや少収な圃場が2圃場であった。夏植と比べ株出の収量は明らかに少なかった。圃場ブリックスは19.0〜22.0%で安定的に高く、高糖度栽培が実現していた。
第6表 喜界島の調査圃場におけるさとうきびの生育状況
第6表
注)*:類型;現地の担当者が過去の実績及び予備調査で判断した類型であるため、実際の推定と異なる場合がある。

(1) 夏植の多収・高糖圃場 ; 夏植のNiF8。山の下のジャーガル地帯で高生産力地区である。自作プランターによる2〜3節苗の2条植である。畦幅は136cmでやや広い。やや高い培土で2条植の株中にも土が良く入っている。欠株は少なく、分げつは中程度で原料茎数は1,115本/aで多い。仮茎長262cmで伸長は中程度、茎径は24mmで中程度、茎の中央部も梢頭部も良好である。推定収量は1,295kg/aと多収である。倒伏は多いが株元がしっかりしており問題はない。生葉は多くきれいで良好である。圃場ブリックスは19.0%で中程度である。中型ハーベスタで収穫する。株出への円滑な移行が課題であろう。

(2) 夏植の多収・低糖圃場 ; 夏植のNiF8。台地下、山の斜面と海に挟まれた低地、防潮林より100m程度内側にあるやや砂質の島尻マージの圃場である。畦幅は110cmと狭い。培土は高く株中への土の投入も良好である。欠株がやや多く、分げつも少ないが、畦幅が狭いため、原料茎数は879本/aと中程度である。仮茎長は237cmで伸長はやや不良、茎径は21mmで茎は細い。推定収量は879kg/aで中程度である。倒伏は少ないがやや乱倒伏である。生葉は少なく、穂孕み茎が多い。圃場ブリックスは21.0%と高い。深溝、良質苗の多投入、浅植で分げつ・株立ちを促進し、株数、茎数を確保して多収を実現し、株出への円滑な移行を実現することが重要であろう。砂地であることから、根系の強い株出多収性系統の導入を検討することも有効であると推察される。

(3) 夏植の少収・高糖圃場 ; 夏植のNiF8。台地下の斜面中腹の圃場。苗を畦間方向に置いた複数条植である。畦幅は142cmで広い。培土は低く、株中への土の投入も不十分である。雑草は中程度ある。小さな欠株が比較的多く、分げつも少ないが、複数条に植え付けられているためか原料茎数は939本/aでやや多かった。仮茎長215cmで伸長はやや不良、茎径も19mmで細かったが、推定収量は895kg/aと中程度である。培土が不十分なため、短い割に倒伏が大きく乱倒伏である。先枯れ茎が目立つ。生葉はやや少ないが黄化して良好である。圃場ブリックスは21.7%で高い。多収への道は、茎伸長の促進である。ハーベスタ収穫のために高培土は困難であるとのことであり、培土の早期化による生長の促進、痩せ地への適応性が高いと推察される品種・系統の導入が有効であり、Ni9、KR91-138、KF92-93のような品種・系統の試作をNiF8の少収圃場で再度行うことも検討に値しよう。(KF92-93は黒穂病に罹病性の株出多収性系統である。RK91-1104、Ni9の利用に際して述べたように、どの地域でも、この系統の利用に際しては周到な黒穂病防除策が必要である。)

(4) 夏植の少収・低糖圃場 ; 夏植のNiF8。高台下の海に向かう北西の斜面、周辺の圃場には出穂の多いNi9の圃場が多い。畦幅は120cm。平均培土のみで株中への土の投入も不十分である。欠株は少なく分げつも中程度で、原料茎数は764本/aでやや少ない程度である。仮茎長227cmで伸長はやや不良、培土が不十分なため茎が短い割には倒伏が多い。茎径21mmで細い。推定収量は724kg/aで同島の平均的夏植収量と比べると少ない。季節風の影響で生葉は梢頭部のみである。穂孕みした茎が多い。圃場ブリックスは22.0%と高い。対策の第一はNi9、KR91-138、KF92-93等、茎伸長が優れ、痩せ地に適応性が高いと思われる多収型品種・系統の導入である。深溝栽培による根系の確保による茎伸長促進も有効である。

(5) 株出の多収・高糖圃場 ; 株出のNiF8。山下の緩斜面、やや砂質で灰色の土壌。畦幅は112cmで比較的狭い。培土はやや低いが株中への土の投入は良好で株出栽培には適している。欠株は概して少ないが所々大きな欠株がある。分げつは中程度で原料茎数は1,101本/aと多い。仮茎長は217cmと伸長不良、茎径は20mmで茎も細い。推定収量は799kg/aと同島の株出の平均収量よりは高い。倒伏は中程度で障害茎や枯死茎は少ない。圃場ブリックスは19.6%で比較的高い。現状でも特に問題はないが、より高いレベルを目指すには、大きな欠株をなくすための新植の初期管理、伸長促進への深溝栽培の実施が有効である。収穫時の株の引き抜きを最小化して株出回数を増加させるためには、萌芽位置が深く耐倒伏性で株出多収のRK91-1004、痩せ地への適応性が高いと推察される株出多収性のNi9、KR91-138、KF92-93等の導入も検討に値しよう。

(6) 株出の多収・低糖圃場 ; 株出のNiF8。台地下、山の斜面と防風林に挟まれた海に近い低地、やや砂質の島尻マージ。畦幅は110cmで狭い。培土はやや高く株中への土の投入も良好である。雑草はほとんど無い。欠株は少〜中程度で分げつはやや少ないが、畦幅が少ないため原料茎数は1,166本/aと多い。仮茎長199cmと伸長は不良、茎径20mmで太さにムラがあるが概して細い。推定収量は697kg/aで同島における株出の平均収量よりは多い。倒伏は少ないが、転び倒伏による枯死茎が見られる。生葉はやや良好である。出穂はない。受光態勢は比較的良好であり、低糖圃場とされるが圃場ブリックスは19.6%で低糖ではない。茎伸長の促進が栽培改善の焦点であり、深溝栽培により夏植の培土を低く抑え株上がりを防止すること、痩せ地に適応性が高いと推察されるNi9、KR91-138、KF92-93等の株出多収性品種・系統の導入も検討の余地があろう。

(7) 株出の少収・高糖圃場 ; 夏植後の株出NiF8。防風林から200m程度離れた低地の平地、島尻マージの茶色い土壌の圃場である。畦幅は118cmとやや狭い。培土は低いが株中への土の投入はしっかりしている。欠株がやや多く、分げつはやや少ないが原料茎数は1,045本/aと多い(実際はもっと少ないと思われる)。原料茎長は188cmと伸長は不良、茎径は22mm、中〜細茎でムラが多い。推定収量は573kg/aと少ない。生葉はやや少ないが黄味がかって健全である。倒伏は概して少ないが所々倒れている。出穂は僅かである。中型ハーベスタによる収穫を実施している。圃場ブリックスは19.8%と問題はない。株上がりによる伸長不良の克服が課題である。株出処理の適切な実施、RK91-1004等の強い株出多収品種の導入が有効であろう。KR91-138のようなNiF8が少収な圃場で株出多収になる系統を試作することも検討に値しよう。

(8) 株出の少収・低糖圃場 ; 株出1回目のNiF8。高台で風が吹き抜ける島尻マージの痩せ地にクチャを客土した圃場である。地域自体が少収・低糖とのことである。畦幅は135cmで広い。2条植である。培土は低いが株中への土の投入は十分であり良好である。欠株は中程度、分げつは少なく調査畦から推定した原料茎数は1,037本/aと多いが、分げつにムラがあるため、茎数も多いところと少ないところがある。仮茎長は197cmで伸長は不良であるが、良いところもありムラが大きい。茎径は20mmであるがやや太いところもある。推定収量は628kg/aで少収であるが同島の平均値より多い。培土が低いせいで倒伏は中〜多、茎が短い割には倒れているが、株元はしっかりしている。生葉は季節風の影響で少ない。新しい萌芽には勢いがあり基本的に地力はあると思われる。圃場ブリックスは19.8%で問題はない。第一に欠株の最小化と伸長の促進が必要であり、それには、健全種苗の多投入による新植時の株立ちの確保、KR91-138のような、根系が強く株の引き抜きが少ない株出多収品種の導入、また深溝栽培が有効である。迅速な株出処理は萌芽促進に有効である。
写真11
写真11:喜界島;夏植のNiF8。
生育が良く高糖多収が予想される。
写真12
写真12:喜界島;ハーベスタによる収穫。
培土が低いのを見ることができる。
2)改善の要点と対策;夏植も株出も少収圃場は伸長不良、欠株の発生が多い場合や畦幅が広い場合等は茎数が少なく少収の程度が大きかった。培土が低いためか茎が短い割に倒伏が多い。いずれもNiF8の品種特性と圃場条件の不適合であろう。対策としては、第一に健全種苗の多投入が必要である。伸長不良な圃場では、まず、Ni9型の株出多収性品種の導入を検討すべきである。Ni9は黒穂病感受性であるため、萌芽性が優れ、痩せ地への適応性も高く、黒穂病抵抗性も比較的高いKR91-138のような系統の導入も検討に値しよう。倒伏の激しい圃場や収穫時の株の引き抜きの多い圃場には、耐倒伏性で株張りが優れるRK91-1004による夏植・株出体系の導入が有効であると思われる。
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4.沖縄北部、伊是名島、喜界島における多収・高糖の実現に向けた栽培改善に必要な重要事項
 調査した沖縄本島北部、伊是名島、喜界島のなかでは、沖縄北部の株出2回のF172(圃場ブリックス13.2%)、株出4回目のNiF8(同13.2%)が極端な低糖度、同地域の株出1回目のNiF8(16.9%)、伊是名島の株出3回目のNi9(16.8%)、同島の株出4回目のF177(17.4%)以外は比較的高糖であった。これらの圃場の低糖度は、低糖性の品種特性または倒伏や生葉の減少等受光態勢の劣化によると推察された。対策にはNi15のような高糖性品種の利用、耐倒伏性で高糖性の株出多収系統RK91-1004の利用が有効であると思われた。3島の少収圃場は何れも伸長不良であった。畦幅が広い場合や、欠株の多発で茎数が少ない場合には極端な少収であった。対策の第一は茎伸長の促進であり、それには、痩せ地への適応性がより高い多収性品種・系統への品種の転換が有効である。NiF8、F177から、Ni9、KR91-138、KF92-93等への転換の検討が必要であろう。勿論、深耕や有機物の投入による土壌改良も重要である。伸長が良く倒伏の多い圃場ではRK91-1004やKF93T-509等の導入も有効であろう。株数の増加を通して原料茎数を増やし、多収に至るのも有効である。欠株は、発芽不良、出芽後の枯死による株立ち不良、倒伏等による株の枯死、収穫時の株の引き抜き、萌芽不良によって発生する。株出の多い沖縄本島北部地域や伊是名島では新植時の発芽不良と株の引き抜き萌芽不良による欠株の増加も多いと推察された。これらの圃場における対策の第一は健全種苗の多量投入や発芽の旺盛な品種の導入である。株の引き抜きに強いと思われるRK91-1004、KR91-138等の導入が有効であろう。畦幅が広い圃場では畦幅を縮めて株数を増加することも重要な検討事項である。
 どの地域でも目標とする栽培と適用している技術の不適合により少収や低糖が生じている。圃場の自然環境、担い手の労働力・機械装備事情等を十分把握した上で、作型、畦幅、使用品種等の基盤技術を選択し、選択した基本技術に沿った肥培管理を施すことによって少収や低糖の改善、多収・高糖栽培の実現が可能であると思われる。
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おわりに

 栽培技術には長所と共に短所が伴うのが普通である。品種もその例外ではない。比較的痩せ地に強く株出多収性のNi9や、耐倒伏性で高糖性の株出多収系統RK91-1004、株出極多収性のKF92-93等は、いずれも黒穂病に感受性である。さらに、RK91-1004は春植の茎伸長が悪く、Ni9やKR91-138、KF92-93は、NiF8の多収栽培が実現している圃場では倒伏が激しい。肥培管理技術についても同様である。新植での高い培土の実践は株出への移行に際しての株上がりに結びつきやすいし、それを避けるための深溝栽培は大雨等による過覆土で出芽不良を招くこともある。
 現地診断で明らかになった問題圃場の生育の実態、および改善のための当面の対策を、本誌上で4回にわたり提案してきた。上述のように、技術には長所と共に短所がある。技術適用に際しては、圃場の状態や経営の内実を熟知した生産者及び支援者によって、技術の導入による利益と不利益の軽重を十分に評価した上で取捨選択がなされなければならない。さらに採用・実行にあたっては、技術導入によって予想される悪影響の防御措置を事前に講じることが必要である。
 本調査は、平成13年度に鹿児島市で開催された農畜産業振興事業団主催の「さとうきび及び甘蔗糖検討会」における論議が発端になり、同事業団の委託事業として、同事業団の理事長、理事、関係諸氏のさとうきび生産についての深い危機感と生産振興への強い熱意を基盤に推進されたものである。実施に際しては、出先機関を含む鹿児島、沖縄両県庁のさとうきび行政担当者、糖業振興協会担当者のリーダーシップの発揮が不可欠であった。さらに、調査の完遂は、悪天候を押して、事前・事後を含む現地調査を担った普及センター、地元自治体、生産団体、製糖企業の関係諸氏の精力的な行動に負うところが大きかった。取得成績の取り纏めは、鹿児島・沖縄両県農試研究員の手によるものである。その他、多くの方々に本診断事業への協力を頂いた。この場を借りてお礼申し上げる。最後に、この報告・技術的提案が、大切な圃場を診断に供することを快諾され、面倒な聞き取りにも丁寧に応対された生産者諸氏の今後の実践、地域の関係者による栽培改善に向けた具体的取り組みの参考になることを心から祈念したい。
写真13
写真13:喜界島の調査団の面々。多謝!!
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「今月の視点」 
2003年10月 
【ごあいさつ】 独立行政法人農畜産業振興機構発足に当たって
 独立行政法人 農畜産業振興機構 理事長 山本 徹
少収、低糖度はどこから来るか?
さとうきび栽培改善のための現地診断 −石垣島、多良間島−

 九州沖縄農業研究センター さとうきび育種研究室長 杉本 明


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