[2004年3月]
【おいしいだけではない! チョコレート・ココアの健康への効能】
紀元前の昔から不老長寿の食べものとして、多くの人々を魅了してきたチョコレート・ココア。最近は、その健康への効能が医学的な面からも注目されるようになりました。
チョコレート・ココア国際栄養シンポジウム風景
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日本チョコレート・ココア協会の主催する「チョコレート・ココア国際栄養シンポジウム」では、チョコレート・ココアを学問の対象として研究されている内外の学者の先生方が一同に会して研究成果を発表され、注目を集めています。
シンポジウムにおける成果は、多くのマスメディアに取上げられ、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌等で報道されております。おいしさ・楽しさに健康への効能をプラスしたチョコレート・ココアが消費者に受入れられて、消費拡大の一助となっております。
このシンポジウムは1995年に第1回を開催し、本年(2004年)9月には第9回を予定しています。
チョコレート・ココアと砂糖の関係は古く、1519年、スペイン人がアステカを征服し、1528年にカカオの飲み物「ショコラトル」をスペインに持ち帰ったことに始まり、現在も砂糖は主原料の一つとして重要な位置を占めています。こうしたことからシンポジウムでは、砂糖が健康に果たす役割に関する研究成果として、第2回シンポジウム(1996年9月)で、カナダ・トロント大学医学部G.H.アンダーソン教授による「砂糖の摂取と健康」、第3回(1997年9月)では、英国・ウェールズ・スウォンジー大学D.ベントン教授による「砂糖と脳の機能」が発表されています。
【チョコレートの栄養機能】
1.カカオポリフェノールのいろいろな効能
近年、いわゆる予防医学の考え方が注目されています。老化やさまざまな病気の原因とされる活性酸素とその働きを抑える抗酸化作用をもつのがポリフェノールで、チョコレート・ココアの主原料カカオ豆には大変豊富に含まれています。
(1) 動脈硬化を防ぐ
(2) がん予防に期待
(3) ストレスにうちかつ
(4) アレルギーやリウマチにも効果
2.カカオ成分に虫歯を防ぐ効果
カカオ成分には虫歯菌を抑える成分が豊富に含まれています。
3.ココアがピロリ菌やO−157を抑える
ココアには胃かいようや胃がんとの関連で注目のピロリ菌が胃の細胞につくのを抑えることが確かめられています。
4.ココアに冷え性改善効果
ココアを飲んでいる人に冷え性改善効果が確かめられています。
5.豊富な食物繊維が血圧上昇を抑える
カカオ成分には血圧の急激な上昇を防いだり、コレステロールの吸収を抑える重要な働きをする食物繊維が豊富です。
6.チョコレートはミネラルが豊富
チョコレート・ココアには、人間の生命維持活動に不可欠なミネラル類が豊富です。
【バレンタインデーはチョコレートが主役】
2月14日はバレンタインデーです。日本の祭事として確固とした地位を築いています。この日の主役は勿論チョコレート。あげた人・もらった人、今年はどのようなバレンタインデーでしたか。もらった人はホワイトデーにお返しをする習慣があります。
【バレンタインデーの起り】
聖バレンタインは紀元3世紀のローマの司祭で、ローマ皇帝の強兵策の一つである兵士の結婚禁止令を破り、多くの兵士を結婚させたため、処刑されました。これが2月14日で、以来、ローマカトリック教会では聖バレンタインの日となっているそうです。
聖バレンタインの殉教をいたむ宗教的な行事が、14世紀頃には若い人たちが愛の告白をしたり、プロポーズの贈り物をする日に変わってきました。
【日本のバレンタインデー】
このようなローマカトリックの行事は日本でも古くから知られていましたが、現在のようなバレンタインデーは、1958年にあるチョコレート会社が東京のデパートで、はじめて「バレンタインセール」を行ったのが原型といわれます。翌年には「女性から男性へ」をいうキャッチフレーズがつきました。その後、大手の菓子メーカーをはじめ各社が積極的にバレンタインセールに取組み、今日のような姿になりました。
最近では、コンビニ・スーパーはもちろんですが、この時期になると売り場が増え、都会では、専門店やデパ地下でのセールが盛んです。
【バレンタインデー・アンケート調査】
(社) 食品需給研究センターが2002年のバレンタインデーにあわせて行った調査。
バレンタインデーにかけた費用 |
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2,000〜5,000円
1,000〜2,000円
5,000〜10,000円以上
他
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35.4%
26.0
11.1
27.5
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プレゼントの内容 |
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チョコのみ
チョコ+他のもの
他のもの
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45.0%
43.9
11.1
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【最近のバレンタインデーの特徴】
最近のバレンタインデーは、本命・義理チョコの従来パターンに加え、友達同士でおいしいチョコを贈り合う友チョコや折角のチャンスにと自分のためにおいしいチョコを贈る(買う)自分チョコなどさまざまな形があるそうです。また、手作りのチョコレートを贈ることも多いようです。
世界の国別チョコレート消費量 |
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1. 米国
2. ドイツ
3. 英国
4. フランス
5. 日本
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141
67
46
29
24
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万トン |
世界の1人あたり消費量 |
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1.スイス
2.オーストリア
3.アイルランド
4.デンマーク
参考:日本
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10.6
9.6
8.8
8.4
1.9
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kg |
【チョコレート・ココアの語源】
チョコレートの語源は、原住民がカカウから作った高価な飲みものを「ショコラトル=chocolatl」といっていたことから転じて、「chocolate」というようになったとされます。フランス語、スペイン語、英語の読み方による違いもあります。
ココアの語源は、スペイン人コルテスがアステカを征服したころ、原住民がカカウと呼んでいたことから、ヨーロッパへ伝わるにつれてカカオ、さらに転化してココアになったと言う説が有力です。
【カカオ豆のはなし】
カカオの木とカカオポッド
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カカオの木
チョコレート・ココアの主原料カカオ豆は、カカオの木の果実の中にある種子です。
カカオは赤道の南北緯20度以内、年平均気温27℃、高温多湿な熱帯雨林地域で裁培されます。発祥は中南米ですが、現在は、西アフリカ、東南アジア、中南米が産地です。
カカオの木は生長すると高さ5〜10メートル、幹の直径10〜20センチになり、可憐な花が年中、幹や枝に咲いてその一部が開花後6ヶ月で実を結びます。実はカカオポッドと呼ばれ、ラグビーボールのような形をしています。厚さ1センチくらいの堅い殻の中にはパルプと呼ばれる白く甘い果肉に包まれて30〜40粒の種子=カカオ豆が入っています。
収穫は一年中行われ、乾季がメインです。カカオポッドから種子を取り出して果肉ととも発酵させます。発酵方法には、バナナの葉で包む伝統的な方法と木箱による方法があり、西アフリカでは簡単に手に入るバナナの葉が主流です。
発酵が済んだ豆は、熱帯の強い太陽の下で乾燥されます。西アフリカでは1メートルくらいの高さの“すのこ”の上で、中南米などでは“パティオ”というコンクリートの上で行われています。乾燥後は、60キロ入りの麻袋に入れられ消費地へ輸送されます。
カカオ豆の種類
カカオの木は、原生種として、クリオロ種、フォラステロ種とトリニタリオ種があり、長い間に多くの派生種が生まれています。現在も各地で品種改良が進められています。
カカオ豆は産地により味覚が異なり、特に、中南米の一部地域の豆はフレーバーに特徴があって珍重されています。チョコレートメーカーは数種類のカカオ豆をブレンドすることが多いようです。
カカオ豆の主要国別生産量(2001/2002年) |
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カカオ豆乾燥風景
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1. コトジボアール
2. ガーナ
3. インドネシア
4. ナイジェリア
5. カメルーン
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128
45
45
17
13
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万トン |