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最終更新日:2010年3月6日
(1) | 公立小学校の給食メニューを用いた、糖類摂取の特徴比較 [1] 対象 日本においては、東京都K市で実施されている学校給食の実施献立1年間分を収集し、アメリカワシントン州S市では、公立小学校の1年間の実施献立を得た。 [2] 方法 全ての食材が明確になったアメリカの30種類のメニューと、日本の30種類とを比較に用いた。栄養計算を実施し、各々の献立から、添加された糖類の量を算出した。 |
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(2) | 同類の市販食品における糖類含有量の測定 [1] 対象 日米のいずれでも同様に購入でき、かつ常食されている市販食品である、ヨーグルト・クッキー・シリアルを複数ずつ選択し、含まれる糖類の測定を行った。 [2] 方法 一定量の食品をブレンダ−により粉砕した後、純水にて30分間の超音波抽出を行う。この場合、たんぱく質を多く含む食品は50%(V/V)で抽出し、脂質を多く含む食品は石油エーテルにて脱脂した後、超音波抽出を行った。濾紙(No.5B)を用いた濾液を採取し等量のアセトニトリルを加え、メンブレンフィルター(0.45μm)で濾過した。Shodex Asahipak NH2-P 4EカラムならびにShodex RI検出器を用いて、糖分析を行った。 |
表1 小学校給食の日米比較による添加糖類摂取の特徴 |
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(1) | 公立小学校の給食メニューを用いた、糖類摂取の特徴比較 実際の食生活における糖類の正確な摂取量を算出することは、個人の綿密な3日間以上にわたる食事記録を必要とし大変困難である。そこで、公立小学校の給食メニューを双方の典型的な食事メニューとして選択した。食事パターンに合わせて分類し、添加糖類摂取の特徴を検討した結果を表1に示した。その結果、食事パターンの違いは明らかで、日本においては [1] 副菜、[2] 主菜あるいは変わりご飯などの主食に、効果的に微量の砂糖が用いられている。しかし、アメリカにおいては調味に用いられることはほとんどなく、糖類を多く含むパンケーキやマフィンなどの主食や、デザートのクッキーやプデイング、チョコレート牛乳、缶詰の果物から、明らかな甘味として摂取されていた(t検定p<0.01)。 |
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(2) | 同類の市販食品における糖類含有量の測定 日本とアメリカで購入したヨーグルト・クッキー・シリアル中の糖類含有量を、表2に示す。アメリカでは日本に比べ、100g当たり(ヨーグルト・シリアル,U検定p<0.05)ならびに1serving size当たり(ヨーグルト,U検定p<0.05)共に、多量の糖類が添加されており、アメリカでこれらの食品選択をする場合、日常的に糖類の摂取しやすい環境であることが明らかになった。 |
表2 食品中糖類含有量の日米比較 |
(1) | 摂取頻度調査 表3に示すように、小児および成人の身体的特徴ならびに年齢に相違はない。また、小児のアメリカ在住期間は8.1±3.3年、成人は6.4±3.0年であった。 これらの対象者について、糖類含有量の測定を行ったヨーグルト・クッキー・シリアルの摂取頻度調査を行った結果を表4に示す。いずれの食品も、日米間においてχ2検定による有意差は確認できなかった。しかし、クッキー・ケーキは、アメリカ在住者、特に成人において、高頻度に摂取する方向へ移行する傾向がみられた。シリアルは明らかにアメリカ在住小児の頻度が高かった。 |
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(2) | 甘味に関わる嗜好ならびに強度評価 甘味の嗜好と、その強度に関する評価については、図に示した。対象者数が少ないため、いずれの場合も一元配置分散分析から有意な結果は得られていないが、アメリカ在住小児では日本在住小児に比べて、高濃度のショ糖溶液への嗜好が高まる傾向がみられた。 |
表3 菓子の甘味度と甘味効率 |
表4 菓子の甘味度と甘味効率 |
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【引用文献】 | |
1) | Drewnowski,A.. et al ; Nontasters, tasters, and supertasters of 6-n-propylthiouracil(PROP) and hedonic response to sweet tastes. Physiol. Behav., 62, 649-655, 1997 |
2) | FAO ; Report of Joint FAO/WHO expert consultation, Rome, 14-18 April 1997 |
3) | 高橋久仁子 砂糖類情報2001年4月号寄稿文(今月の視点 砂糖に関するアンケート調査から) |
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「今月の視点」 2005年2月 |
●北海道農業者のてん菜直播栽培に関する経営評価 (社)北海道地域農業研究所 常務理事 黒澤 不二男 |
●砂糖摂取に影響する要因と食環境への味覚適応性の検討 〜日米間ならびに世代間比較〜 (平成15年度砂糖に関する学術調査報告から) 東京都立短期大学健康栄養学科 助手 井上久美子 | |
●てん菜・てん菜糖に関するアンケート調査結果の概要 〜適各種普及啓発事業における消費者意識調査から〜 社団法人北海道てん菜協会 専務理事 渕澤 克己 |