5月の市場は、月前半から月半ばまでは、ロシアが8月1日からの砂糖の輸入関税引き上げ前に着実な買いに入ったことから、前月までの売り超過状態から反発し、現物価格は概ね5¢台後半で推移した。
さらに月後半は、フィリピンによる30万トンの入札やイランによる持続的な買いなどが支援材料となって上伸し、現物価格は、5月20日に6.05¢と4月5日以来の6¢台を記録し、堅調に推移した。
また、市場関係者は、5月25日にブラッセルで開催された世界砂糖機関(ISO)のセミナーで、「生産を削減しなければ砂糖業界で多くの倒産が起こる。」といった見方が出ていることに注目していた。
このような状況の中で、現物価格は、最高値が28日の6.13¢、最安値が3日の5.35¢、月平均が前月に比べて0.39¢高の5.83¢と前月までの下落基調から徐々に上昇基調へと転じた。また、期近7月限価格は、最高値が28日の5.00¢、最安値が3日の4.50¢、月平均が前月と同じ4.77¢であった。
今後の市場動向に関して、E・D&F・マン社は、今年度の供給過剰量が当初予想を上回るとの予測、及び99/2000年度の減産の兆候がほとんど見られないことから、供給量が確定する7月までにさらに下落する公算が大きいと見込まれるとしている。
また、ISOは、「世界の砂糖相場が底入れしたか、底値周辺にあるかもしれないというぼんやりとした兆候が見え始めた。」と分析し、一方で、「生産者がこうした相場のシグナルに反応しなければ、現在の長期的な弱地合いが98/99年度中に反転する公算はない。」と指摘した。
